眠る女と読む男

車中のとも。
堀江敏幸なずな (集英社文庫)』(集英社


分かりにくいところで引っかかると、
なかなか放っておけずにじくじくと読み直してしまう。
まぁ、いいや。ゆっくり読めばそれだけ長く楽しめる。


小説、久しぶりかな、と思ったけど、こないだまで、
歯みがきしながら読み継いでいた東野圭吾があった。
あぁ、片岡義男も、休みのときに読んだりするな。
車中のともにするのが、久しぶりなのかな。


小説と、小説でない文章の違いって、なんなんだろう。
自分で恐れているよりずっと、小説は僕に優しいのかもしれない。
小説でない文章と変わらなく優しいのかもしれない。


幼児が寝て、赤子が続き、母親も眠った。
女たちは、みんな寝てしまった。
男はひとり、小説を読み継ぐ。

繰り返しだ。繰り返しが大切だ、と自分に言い聞かせる。繰り返しミルクを飲み、繰り返し便を出しているうちに、なずなは大きくなる。大人になって成長が打ち止めになった私も、地道に日々を繰り返していれば、きっとどこかにたどり着けるだろう。(p.132)