読みそれぞれ、訳それぞれ

車中のとも。
片岡義男鴻巣友季子翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』(左右社)


『群像』2012年11月号*1の「群像的文体練習」の話が出てきた。
穂村弘福永信鴻巣友季子レイモン・クノーの文体練習に倣う試み、とな。
「詩人と小説家という実作者は、他人の文章が先にある場合、それとの距離感をうまくきめないと抜本的には書き変えられない、ということがわかりました」(p.108)
小説家である片岡義男の「二十五パーセントで自分の自由さを出す」翻訳と、
翻訳者である鴻巣友季子の「憑依体質」で文体に支配されて翻訳するのと、
その違いが面白い。


鴻巣さんは、翻訳をすることで「自分自身の日本語表現も鍛えられ」たのに対し、
片岡さんは、「僕の場合は、翻訳という作業をとおして僕自身の日本語表現が新たに鍛えられることは、ないと思います」(p.110)
とばっさり。


面白い。