読み散らかして春を待つ

冬の本


今日は妻子が東京行き。
こちらは夜まで予定なし。
なんとなく出発の支度を手伝っていたら、
妻から、京都まで一緒に来てくれないかというリクエスト。
きょ、京都!すぐに、善行堂に行くことを企み、快諾。
京都行き近鉄特急の中で妻が眠っている間、
娘ふたりの相手をして、任務完了。


三人を新幹線改札へ送りこみ、
先月その存在を知った、八条口の本屋さんへ向かう。
初めて降りるエスカレーター。なんとなく進んでいけば、
あぁ、こんなところに本屋さん。通路側のガラスを熱心に磨く男性店員。


この、ガラスを磨くという作業、
書店員で日常業務に入っている方、けっこういるんでしょうか。
僕が在籍した店でやっていたところは、ありませんでした。
店をきれいにする仕事。だいじ。


昨日の散財とこの後の善行堂予算とが財布をがんじがらめにして、
ほとんど両手を後ろに組んで棚を眺める。それほど広くないお店で、
雑誌やら文庫の新刊やらが並んでいて、ツーツーと足早に店の中を歩きまわる。
そうして、ふと、人文書新刊だったか、表示のある棚の前で足を止める。
何やら、熱を感じる。あれ?文庫棚じゃないのに、オカタケ師匠の文庫、
平積みされてるじゃないですか。そして、『切腹考』がある。
これ、何かで紹介されてたの、見たな。手に取る。
パラパラする。うわー、貧血おこしそう。


本を戻して、目の前の棚を、左から右へと眺めていく。
わー、なんだか面白い。本の本、というほどの固まりではない。
でも、そういった匂いのする本、歴史の本、理工書っぽいの。
図録みたいのが平積みされてたり。なんだろう、この一角は。


ひと通り、棚を愛でて、しかし、買うに至らず、
店を出た。再びエスカレーターを上り、京都タワーがある側へと、
人ごみに紛れて歩いていく。ガラクタケータイで、
善行堂の営業時間を検索。12時から。
・・・12時からか。あと2時間。
今日は、諦めようか。


帰りの奈良行き特急の時間を調べ、
パン屋さんでサンドイッチ、紅茶とリンゴのパンを買い、
もう一度、急いで階下の本屋さんへと駆け寄る。


購入。ふたば書房京都駅八条口店。
岡崎武志古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公文庫)』(中央公論新社


善行堂に行けないなら、せめてオカタケ師匠の本を買って、
京都に来た「しるし」としようじゃないか。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
伊藤比呂美切腹考』(文藝春秋
小泉和子パンと昭和 (らんぷの本)』(河出書房新社
皆本二三江『「お絵かき」の想像力: 子どもの心と豊かな世界』(春秋社)
きたやまおさむコブのない駱駝――きたやまおさむ「心」の軌跡』(岩波書店


近鉄特急で、買ってきたパンを食べる。美味しい。
後ろのおばちゃん三人組が大声で話しているのを聞きながら、
知人にハガキを書く。ものすごい揺れで、へたくそな字がさらに乱れる。
本を開く前に、奈良に着いてしまった。早い。帰りの電車で読もうと思って、
鞄に入れてきた堀江敏幸の文庫*1を、
ふたば書房の袋に入れてみる。


あぁ、2月と3月の、中公文庫が並んでいますよ。
仲良しみたいで、いい感じ。改札を出て、地上へ。
ポストにハガキを投函して、さっさと家に帰る。
変な時間にパンを食べたりしたからか、
空腹の気配は感じない。昨日の記事を、
書いてしまおう。しばらくして、
投稿した日付を間違えたことに気づく。
土曜日の日付で再投稿しようとしたら、
ふぃぶりおさん*2が早くもスターをつけてくれていた。
いつもありがとうございます。ごめんなさい。と言いながら、削除。


遅い昼食を取りに、ごはんの間さんに行こう、と思いつく。
それなら、洗濯機を回してからにすれば、帰ってきて干せるんじゃないかしら。
サーブされるまでの短い時間に何か読むものを、と部屋を見回して、
一瞬、見つけられる気がしないと絶望しかけたのだが、
青い表紙が目に入って、これだよ!と鞄に入れる。
外へ出ると雨が降っていたので、
傘を取りに引き返す。小走りで、
ごはんの間さんへと駆け込む。


ごはんのとも。
冬の本』(夏葉社)


大好きな「はじめに」を読んだ後で、もしやと思って探したら目次にその名を見つけた。
前野健太の文章、柔らかい。これで、昨日買ってきた『百年後』*3に向けて、
読みたい気持ちが加速した。楽しみだなぁ。『冬の本』の表紙を上にして、
テーブルの上に置いたまま、食事をする。和田誠のイラストが、
美味しいごはんに、さらなる幸福感を味つけしてくれる。
あの、雪の深さがいい。雪の中、本を歩き読む根性。


沖縄に行く前に、宇田智子さんの文章を読み、
『百年後』を買った翌日に、前野健太の文章を読み。
そのときどきに、「入ってますよ」と手を振る『冬の本』、
あなた、ちょっと、小憎らしいじゃない。


ドラッグストアで買い物をしてから、家に帰る。
洗濯物を部屋干しして、三たび、出かける。雨は、
少し強まっている。駅に着いて、駅でも、
お店にあるような傘ビニール配ってほしいな、など。


車中のとも。
江森丈晃編『音楽とことば あの人はどうやって歌詞を書いているのか (P‐Vine Books)』(スペースシャワーブックス)


はじめに、は、部屋で読んできた。
頭から読む。ひとりめは、曽我部恵一
語られている曲が気になって、iPodを取り出す。
こういうとき、音楽って、「便利」だな。
本とか映画とかだと、すぐに摂取できない。
いや、あれか、スマホとか電子書籍とかで、
動画とかなんとかにアクセスすればそれもいけるのか。


気がつくと、眠っていた。
電車のなかって、猛烈に眠くなるときある。
あれ、どうやっても抗えない。


みすずの読書アンケート号を探しに、ジュンク難波。
ありました。ていうか、2016年のやつまであったし!
ほんと、まいっちゃうよなぁ。気になっていた本も置いていて、
なんか、買ってしまった。なんなんだ、この、してやられた感。


購入。ジュンク堂書店難波店。
みすず 2017年 02 月号 [雑誌]』(みすず書房
栗田正行『「発問」する技術』(東洋館出版社
安次嶺隆幸、羽生善治谷川浩司森内俊之将棋に学ぶ』(東洋館出版社


鞄が、本でぎゅうぎゅう。
ドトールで、パフォーマンスの予習、復習。
モードを切り替えて、雨中、御堂筋をゆく。


今夜はもう、地下のブックストアには行かなくていい。
リハの後、おとなしく大阪難波へ直行する。明日、仕事よ。
特急に乗って、もうハガキの持ち合わせもなく、
おとなしく本を読む。


車中のとも。
江森丈晃編『音楽とことば あの人はどうやって歌詞を書いているのか (P‐Vine Books)』(スペースシャワーブックス)


安藤裕子のとこ、読み終わった。