京都へ、善行さんに会いにゆく

あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)


何度も先送りしてしまっていて、もういよいよ今日こそは、
善行堂に行かねばならぬ。となれば、こないだ三鷹で火をつけられた、
『あしたから出版社』*1への思いが燃え上がる。
レンブラントの帽子』*2も読み終えたことだし、
あの善行堂を訪ねるところをさらっと読み返そう。


三鷹で聞いた島田さんの話がよみがえる。パラパラしながら、
『さよならのあとで』*3のところも拾い読みしてしまう。
荒川洋治和田誠との感動的なやり取りから始まって、
善行堂はもちろん、北條さん、オカタケ師匠、長谷川書店、
古書ビビビ、出るわ出るわ、ぼくの好きな人たち店たちがぞろぞろ出てくる。


『昔日の客』*4も登場。


結局途中からふつうに読み進めてしまって第一部を読みきった。
『さよならのあとで』も手に取る。改めて読んだ。これは、
今はなき、八重洲古書館の最後のお店で買ったやつだ。
宅配のお兄さんが来たので涙をぬぐって応対する。


出がけに、ベニヤ書店の店頭をのぞく。
『少年ジャンプ』は、なかった。さすがに、ないか。
駅前のATMでお金をおろすつもりだったのに、
うっかり忘れて電車に乗ってしまった。
大和西大寺でほんのり時間ができたので、
改札を飛び出て奈良ファミリーまで行ったが、
ATMに列ができていたのでそのまま引き返す。
ただ小走りのトレーニングをしただけに終わった。


なにをしているんだか。


車中のとも。
坪内祐三文庫本を狙え! (ちくま文庫)』(筑摩書房


柴田錬三郎の『デカダン作家行状記』(集英社文庫*5気になる。
山下清『日本ぶらりぶらり』(ちくま文庫*6も気になる。


出町柳に着いて、いつもならすぐレンタサイクル屋に行くのだが、
今日は自転車を借りるお金も足りないのでまず歩いてATMへ。
一瞬、自転車を借りずに歩いて善行堂に行こうかとも思ったが、
そもそも本を買うお金もないじゃないか。で、無事に自転車にまたがり、
今出川通りを東へ。気分がいい。なんか久しぶりな感じがする、
と思ったら、最近、うちの自転車はずっと妻が使っていて、
自転車に乗るの自体が少し久しぶりなのだった。


途中、進々堂に入る。おそらくは2006年の夏以来だ。
大きな窓すぐの席でカレーを待つあいだ、『文庫本を狙え!』のつづき。
文末の日付を追いながら改めて、週刊誌連載の原稿だったのだな、と思う。
毎週これを読めるというのは、幸せだったろうな。
ま、当時の自分が面白く読めたかは疑問だが。


カレーを食べ終えて、コーヒーを飲みながら、
もう少し読み進める。


窓際のとも。
坪内祐三文庫本を狙え! (ちくま文庫)』(筑摩書房

不謹慎な言い方だが、山口瞳の親しい人が亡くなると、今度はどんな追悼文が読めるのだろうと、少し楽しみだった。(p.230)


山口瞳の『江分利満氏の優雅なサヨナラ (新潮文庫)』*7、気になる。


再び自転車にまたがり、善行堂へとたどり着く。
外の均一棚に挨拶してから、店の中へ突撃。今日は珍しく、
善行さんの胸に飛び込む勢いで、店の奥へとぐっと入っていけた。
三鷹での島田さんの講演の話から、今週末の守口でのトークのこと*8
『大人のおしゃれ手帖』のこと、たくさんおしゃべりをして、とても楽しかった。
途中、雨がすごく降ってきて、この雨が降っている間は帰れないな、
と、いつもにも増してゆっくりできた気分だった。
堪能した。「また土曜に!」という挨拶が嬉しい。


購入。古書善行堂。
山下賢二、三島宏之『ガケ書房の頃』(夏葉社)
関口良雄さんを憶う』(夏葉社)
井伏鱒二井伏鱒二対談選 (講談社文芸文庫)』(講談社


「この後は、どんな予定なの?」と聞かれたが、
「もう帰ります」と答えた。自転車で出町柳を目指しながら、
なんて贅沢な京都旅だろう、と思った。


車中のとも。
坪内祐三文庫本を狙え! (ちくま文庫)』(筑摩書房


『夢の始末書』*9、これは実家にあるな。
あれは面白かった。読み直したい。


なぎら健壱『日本フォーク私的大全』*10から武者小路実篤武者小路実篤詩集』*11への連なりにしびれる。


お迎えの時間も迫っていたが、こうも魅惑的な文庫を立て続けに紹介されると、
どれか一冊は売ってるんじゃないかと、古本屋さんに入ってしまう。


あった。


購入。フジケイ堂小西通り店。
山口瞳江分利満氏の優雅なサヨナラ (新潮文庫)』(新潮社)


米を買いに入ったスーパーでレジに並んでいるとき、
ふと雑誌ラックに少年ジャンプを見つけて買ってしまうなど。


購入。パケット奈良店。
週刊少年ジャンプ 2016年10月3日号 42号』(集英社