読みながら緑、聞きながら緑

アメリカの61の風景


駅の売店で、菓子パンと午後ティーミルク。
送品表をチェックして、ちらりと車窓からの緑を目に入れて、
そうして、今日は、久しぶりのこの本だ。


車中のとも。
長田弘アメリカの61の風景』(みすず書房

人生はこんがらかったものでなく、もっとずっと単純であっていいと思う。決まった時間の外に、じぶんをもってでる。決まった時間の外にもう一つの時間があり、そのもう一つの時間のなかに、忘れられた人生の単純さがある。旅に目的はない。ただどこかへゆく。そして、人生の単純さをじぶんに、ほんのしばらくでもとりもどす。(p.8)


読書にも、目的はない。ただどこかへゆく。
そして。やはり何かを取り戻すのかしら。


アメリカの61の風景』は、「ゆっくり読む本」かもしれない。
『悲しみの秘儀』*1よりずっと前に、「ゆっくり読む本」を知っていたのか。
おそらく、同じみすず書房の、荒川洋治のエッセイも「ゆっくり読む本」だろう。
途中で本を閉じて小さくため息をつきたい気持ちと、あと少し読み進めたい気持ち。


入ってこないかと思っていた『ユリイカ』が入荷した。
音楽雑誌のところに、並べてみる。特集によって、通常並べる棚より、
別のゾーンに置きたくなることがときどきある。今、発売中の、
Number*2も競馬のとこに出した。
ユリイカ』は、普段、入れてないから、どこに出しても大丈夫。
まぁ、素直に「音楽」のとこに出したけど、果たして、
他に面白いところはないだろうか。誰かに届く場所が。


気になる新刊。
スーザン・ソンタグ、木幡和枝『イン・アメリカ』(河出書房新社


購入。
Pen(ペン) 2016年 5/15号 [いとしの歌謡曲。]』(CCCメディアハウス)
ユリイカ 2016年6月号 特集=日本語ラップ』(青土社


音楽の本を買ったからか、耳が音楽を欲していて、
イヤホンを耳に突っこむ。iPod のシャッフルって、
ちゃんとシャッフルされているんだろうか。
また民生が歌ってるや、と思いながら歩く。


車中のとも。
長田弘アメリカの61の風景』(みすず書房


「フクロウとヘラルド・トリビューン」に、スーザン・ソンタグ出てきた。
「まもるに値する99のもの」、良かった。


近鉄奈良駅に着いて、読みかけのページにスピンをはさむ。
時々、スピンの位置を買ったときのままキープしたいという、
謎の欲求に駆られる。今回は、欲求をかわした。
いや、そもそも、前にも使ったかもしれないし。


音は止めていたが耳に突っこんだままのイヤホンから、
再び曲を聞きはじめる。女子大横の坂道をおりながら、
遠くに見える緑と、大学構内に茂る緑を感じる。
心なしか、緑に対するアンテナが、
強くなっているように思う。


長田弘の本に、励ましてもらったのかもしれない。


音楽を聞きながら緑を眺めていると、なんとなく、
センチメンタルな気分にもなってきて、ふと学生時代のことを考えた。
「そういえば、あの時も」という「台詞」が頭に浮かび、それに合うエピソードを探したが、
学生時代は、ポータブルプレイヤーを持っていなかったな、確か。
父に借りていた車の中と、部屋の中でしか、聴かなかった。
それらはCDだった。パソコンも、持っていなかった。