誰かに本をすすめることの

レンジで解凍したおにぎりを鞄に、
駅までの道を小走り。今朝は、けっこう明るい。
毎年冬が始まると、「2月はもっと寒くなる」と恐れおののくあの2月だが、
今シーズンは、それほど苦しい寒さは感じないまま、過ぎ去ったようだ。
もっとも、1月からの「風邪」が抜けずにずっと低空飛行であったが。
車窓から、若草山の後方が朝日に輝き出すのが見える。


車中のとも。
鴻巣友季子編著『翻訳問答2 創作のヒミツ』(左右社)

鴻巣 翻訳者の使命には森はさておき木を、とにかく細部を見るということもあるんですが、もうひとつには、数十ページ、ときには数百ページを隔てたエコーを聞き取るということもあります。(p.152)


これは、つまり、読者の使命でもあって、
数百ページ、ときには何冊もの本を隔てた、
何年も、何十年も隔てたエコーを聞きとることで、
胸になにかが芽吹くこともあるんじゃないかと思います。
その芽の色の鮮やかさをを、ぼくは、誰かに伝えたいと思う。


午前中、なじみの、お弁当屋のおばちゃんが来て、
おすすめの本を尋ねられた。答えきれず、一度、背中を見送ったあと、
ふいに思いついて、追いかける。紹介する。「いいね、いいんじゃない?」
と言われる。嬉しい。ついに、わたしにも、顔を覚えたその人のために、
本を探す機会を得たわけだ。しかし、これは終わりではなく、始まり。
常套句であるけれど、真実には違いない。


昨日の決意虚しく、弁当屋にでかけた。今日は他の弁当の値段もチェック。
予想通り、私の愛用弁当だけ狙い撃ち値上げっぽい。いつもと違うのを買った。
明日から、お弁当作りをがんばろ。これで前月比、マイナス20個だよ?
さらば肉じゃがコロッケ。さらば、お弁当屋のおばちゃん。
そういえば、あのおばちゃんは今日はいなかったな。
休みの日に買い物に来てくれたんかいな。


気になる新刊。
ひとりで歩く京都本 (えるまがMOOK)』(京阪神エルマガジン社


それなりに遅く、それなりに早い退勤。


「百書店の本屋祭」参加してみたかったが、
「参加は屋号を持って本を販売している方に限ります」という条件に、
自分はそぐわないな、と思って断念。あれこれこじつければアレかもだが、
ちょっとそれは違うな、と思って。でも、「参加してみたい」と思った自分に、
「そうかい、参加してみたかったのかい」と肩をぽんぽんしてやりたくなった。