木曜、善行さんに会いに行く

晴れた。
洗濯をして、無印良品の、
壁に付けられる家具を壁に取り付け、
車中のともを吟味して、おでかけ。


車中のとも。
長田弘読書からはじまる (NHKライブラリー)』(日本放送出版協会


この本が、「本を読むということ」について、
なかなか手ごたえのある本だった記憶があって持参したわけだが。


手ごたえがありすぎて、あごが痛くなった。(そりゃ歯ごたえだよ)

今日、揺らいでいるのは、本のあり方なのではありません。揺らいでいるのは、本というものに対するわたしたちの考え方であり、「本という考え方」が揺らぐとき、揺らぐのは、人と人を結び、時代と時代を結ぶものとしての、言葉のちからです。(p.9)


今日は、善行さんに予約をお願いしていた、
野呂邦暢古本屋写真集を買いに行くのだ。


出町柳駅でいつものレンタサイクル。
デポジットの2000円を預けると、
おやまぁ、写真集の支払いさえ怪しくなる。


開店直後は善行さんが不在のようだったので、
善行堂*1の前に、恵文社一乗寺店か、はんのきでも、
覗くつもりだったのに、軍資金がなくてはいかんいかん。


先に恵文社に行こうかと思ったが、ATMを探すついでに、
はんのきの方を攻めることにした。ATMはすぐに見つかった。
そのまま、うっすらとした記憶をたどって自転車をこいでいくと、
どうだろう、はたして、あの町家古本はんのきに、
たどりついたではないか!よく覚えていたもんだ。


前回は、たしか片岡義男の本などを買ったのではなかったか。
今回も、まぁ、気になる本が並んでおるわ、並んでおるわ。
それも、いつも気にかかっているような作家や書名でなく、
あぁ、こういう本もあったのか、というところがたくさん。


そして、これまた尿意に邪魔されて*2、ひと通り棚を眺めまわして、
一冊だけ買って、店を後にする。もっと粘って買いたかったが、
仕方あるまい。かえって、この後のためにはよかったのかも。


購入。町家古本はんのき。
近藤ようこ見晴らしガ丘にて (ちくま文庫)』(筑摩書房


公園で、どらやきをかじって、いざ、善行堂へ。
今日は久しぶりに温かさが戻ってきていて、
自転車に乗っていても、心地よい。
それにしても、京都で乗る自転車は楽しい。
自宅の周りで乗るよりも、旅先感が強いからだろうか。


善行さんは、店に戻ってきていた。
すぐに、野呂邦暢の写真集を出してくれた。
おお、思っていたよりもちいさくてきりっとしている。
ぱらぱらすると、掲載されている写真の感じが、
懐かしい感じがしてじーんとする。
親の、若いころのアルバムを、
見せてもらっているような。


「今日は棚を見せてもらいます」と宣言して、
よちよちと、棚を拝見。はんのきさんとはまた違った、
うーむ、ふーむな本が並んでいる。それにしても、
ちくま文庫のたくさん並んでいる棚の味わいは、
なんとも言えない甘みがありますなぁ。
あ、片岡義男がある。8フィート。


奥方さまも交えて、子どもの話やら、
本屋さんの話やら、いろいろとお話させていただく。
ホホホ座の話も出た。正直、あまり行きたくなかったので、
場所さえ調べていなかったのだが、思いのほか、行きやすそうだ。


購入。古書善行堂。
野呂邦暢岡崎武志小山力也野呂邦暢古本屋写真集』(書肆盛林堂)


恐怖の呪文、「せっかく来たんだし」が脳内に響き、
自転車を東へ進める。白川通りを南下する。
フレスコが見えたら、左折。あった。


自転車の無造作な止め方が、
ふるいふるいゲームセンターとも呼べないような、
ゲームコーナー的な子どものたまり場に来たような、
そんなわくわくする入り口であった。中は、ガケ書房より、
小さく見通しもよく、ハンバートハンバートがかかっていて、
なんとなく、親しみのわく空気が流れていた。が、空間としては、
ぼく自身とはまだなじまないような、人見知りに似た感じを抱いた。


気になった本。
清野由美『葉山からはじまるシフトチェンジ 住む場所を選べば、生き方が変わる』(講談社


購入。ホホホ座(1階)
植本一子『かなわない』
10年メモ(グリーン)

さて、だいぶ遅くなった。帰ろう、
と思ったら、2階があることに気付いてしまった。
・・・「せっかく来たんだし」。


ああ、聞こえるよ呪いが、呪いの声が・・・。


2階は、古本と雑貨、ということで、
いろいろと気になる本もあったが、1階でお金を使いすぎたし、
もうなんだか気力が残っておらず、何も買わなかった。


買わなかったが、この不思議な空間は1階よりも、
だんぜん、居心地がよかった。また来たいな、
と思わせる魅力が、あった。夕方の教室、
みたいな感じかな。あと、友達の部屋。
小学校の時に遊びに行った感じ。


廊下にあったお手洗いを借りた。
これもまた、なんか古くていい感じ。


帰りの電車で、近藤ようこの文庫を読み干した。

*1:古書善行堂:http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/

*2:前回も、おしっこがしたくなった。楽しすぎるのだ