糺の森で消耗す

本の雑誌 324号


今日は、下鴨納涼古本まつりに参戦。
妻が朝早く仕事に出かけたので、
ついでに自分も職場に顔を出し、
たまった雑誌を返品。


多少は気分がすっきりしたところで、
京阪電車出町柳を目指す。


車中のとも。
山本善行『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社)


古本まつりに行くときに、単行本を持っていくのはためらわれる。
その点、この本は最適だ。軽いしコンパクトだし、何よりも
下鴨古本祭りに向けての「古本パワー」がみなぎってくる。
「定本古本泣き笑い日記」*1はお留守番。


『古本頭』のすばらしいところは、
エルマガジン』に連載されたエッセイに、
後日談的なコメントが寄せられているところ。
おかげで善行さんの古本生活がより立体的に楽しめる。


エッセイの連載は平成17年(2005年)〜平成20年(2008年)。
古書善行堂のプレオープンが2009年7月。平成表記と西暦表記が、
いまだに瞬時に行き来できずにいる。


さて、出町柳で地上に出ると、蒸し暑い京都だ。
名前は涼しげな糺の森へと向かう。目の前を、
紫色のズボンにぼうしをかぶった老人が行く。
会場からビニール袋を提げた人がたくさん戻ってくる。


時刻は11時を過ぎたところ。みなさん、早い出勤ですな。
こちらはのんびりと、まずはセンター通路を北上する。
あちこちでうちわが揺れているので、欲しくなる。
本部前の箱から、ひとつ、ちょうだいしてパタパタ。


一番奥の児童書棚から、戦闘開始。しかし人が多い。
僕は弱虫なので、人が群れている棚には近づけない。
とはいえ、通路にも人が溢れているから、
ただいたずらに人の間を縫うばかり。


文庫・新書を中心に、ときどきは単行本も冷やかしながら、
ゆっくりゆっくりと南下する。全ての棚に目を通す、
なんてとてもできやしない。それどころか、文庫棚すら、
人が見てるとちっとも待てずに別の棚に移動する始末。


なんというか、自分の粘りのなさに、
情けない気持ちになりました。


古本パワー、いずこ。


いや、まあ、いいんだけどさ。
なんか好奇心が衰えているみたいで、
ちょっと怖ろしくなったものですから。
30代半ばで、年齢のことを言い訳にしそうに・・・。


1冊100円、7冊500円、とか言われても、
欲しい本を7冊集める気力がない。2冊買って200円なら、
7冊買って重たい思いで500円払うよりも、軽くて、
300円の節約になるじゃないか!という発想。


スタート位置の紫陽書院さんの棚まで戻ってきて、
余力なし、4時間棚を回り続けてしまったことに気づく。
完全にペース配分を間違えました。恵文社一乗寺店に、
今日は、行けないや。残念。


購入。
黒井千次星からの1通話 (講談社文庫)』(講談社
鳥越信目でみる 日本昔ばなし集 (文春文庫―ビジュアル版)』(文藝春秋
本の雑誌編集部『本の雑誌 324号』(本の雑誌社
田嶋幸三「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)』(光文社)
畑村洋太郎回復力~失敗からの復活 (講談社現代新書)』(講談社
飯間浩明遊ぶ日本語不思議な日本語 (岩波アクティブ新書)』(岩波書店
水道橋博士本業 (文春文庫)』(文藝春秋
はるき悦巳じゃりン子チエ (9) (双葉文庫―名作シリーズ)』(双葉社
松下希和『住宅・インテリアの解剖図鑑』(エクスナレッジ


『星からの1通話』黒井千次の名前があると、
一応は手にとってしまうのだが、この文庫、
表紙に「75のショートショート」、とある。
特になにも思わずに後ろのほうをパラパラすると、
ヒヤリとした。「キップ」ということばが見えた。


昔、中学受験の参考書で読んだ、あのお話だ。
学生時代、どこかの国語の教科書に掲載されているのを、
先輩に教わって読ませてもらったことがあったが、
タイトルをメモらず、コピーもとらずで、
結局、再読がかなわずにいた作品。


まさか、ここで再会できるとは!
タイトルは、「子供のいる駅」だった。
帰りの電車でビニール袋から文庫を取り出し、
ここだけ、ひろい読みした。これ、好きだな。


読了。
山本善行『古本のことしか頭になかった』(大散歩通信社)

書物はしばらく寝かせておくと、買ったときとはまたちがった姿を見せてくれることがある。(p.130)


本の雑誌324号』も、ひろい読み。
江弘毅「ミーツへの道」が最終回だった。
思わず、握りこぶしを固めてしまう内容。
これ、もう単行本になってるのですか?


帰宅して、これを書きながら、
ふと気になって、去年の日記を見てみた。
5時間も棚を回ってる!1年で体力がガタ落ちか?
いや、待て!今朝、返品作業してきたからじゃないのか?


来年があるなら、もうちょっと当日に向けて、
いろいろ調整していきたい。善行さんを見習って。