守口市の古本屋に集う人々

夕暮の緑の光 (大人の本棚)


TLに、たられば書店プレオープニングイベントの件。
交流会かー、どうすっかなー、と思いつつ、
そんなことよりまずは間に合うように、
仕事きっちりが第一ではないか。


久しぶりに風邪気味。風邪のしんどさって、
健康なときは全く忘れているもんだな、と改めて。
いや、どんな病もそうだけどね。


そんな体調もあってか、今日のスーツアクトは、
なかなかキツかった。かなり汗をかいた。
早めに退勤。ゆっくり守口に間に合う。


途中、乗換え駅で本屋さんをのぞいたり。


気になる新刊。
若松英輔生きていくうえで、かけがえのないこと』(亜紀書房
吉村萬壱生きていくうえで、かけがえのないこと』(亜紀書房
〆切本』(左右社)
常光徹しぐさの民俗学 (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA
内澤旬子漂うままに島に着き』(朝日新聞出版)


『生きていくうえで、かけがえのないこと』ようやく現物に出会えた。
若松英輔版のまえがきを吉村萬壱が、
吉村萬壱版のまえがきを若松英輔が。
これは、両方買わねばかもしれない。


二度目の、守口市駅。今回は迷わずたられば書店へ、
と思いきや、いきなり改札出たあとの方角を見失って、
ちょっとめまいがする。反対側か。店の前にはごぶりん。
山本さんや奥さんに挨拶してから、店の周りをぐるぐる歩く。
近くに本屋さんとかあったらな、と思いつつぐるぐるするも、
やたら美味しそうな飲み屋ばかり目につくだけですぐに退散。


リフォームされた1階には、オカタケさんや善行さんの本など、
新刊ばかりがきれいに並んでいる。怪しげな廃屋の気配はみじんもない。
受付をして、会場である2階へと階段を上っていく。まだお客さんは少なく、
オカタケ師匠と善行さんが居心地悪そうにスタンバっていらした。
これから開演までの三十分、少しずつ集まってくるお客の視線に、
さらされて待つおふたり。あまりのいたたまれなさに、
会場の椅子などを再セッティングしはじめる師匠。


ご機嫌ななめとおそれるほどの師匠の雰囲気と、
相変わらずのんびりにこにこした善行さんのオーラと、
いったい、今日のイベントはどんなことになるんだろうか、
とビビりながら速攻でドリンクを飲み干してしまった。
そこへひょっこり、長谷川書店さんが登場した。
TLに流れたリツイートなどから、ひょっとしたら、
という淡い期待があったのだが、ほんとうにお会いできた。


もう、安心だ。


安心したら、ぞろぞろと、オカタケ師匠と善行さんの、
守口高校時代の同窓生たちが入ってこられた。一番前にずらり。
これは、壮観だ。オカタケ師匠の促しから、たられば店主山本さんの挨拶、そして、
「本の話をしない」というこれまでにない善行堂VSオカタケ師匠のトークイベント。


同窓生を目の前にしたおふたりの昔ばなしは、期待以上に面白かった。
そもそもふたりの掛け合いは絶妙であるのだが、今回は、
イベント前に思い出の地を車で回ってきていること、
話の内容にニヤニヤとうなずく同窓生がいること、
なども手伝ってか、なんとも言えない、
不思議な味わいを醸し出していた。


トークが終わり、階下で本を物色。
いつかいつかと思いつつ、なかなか購入に至らなかったこれを。


購入。たられば書店。
野呂邦暢 岡崎武志編『夕暮の緑の光 (大人の本棚)』(みすず書房


交流会に少しだけお邪魔して、善行さんたちとお話。
その後、長谷川さんとふたりでなんやかやとお話する。
そんなことを言われても困ってしまうだろうが、
長谷川さんの優しさというか、魅力を覚えると、
どうしようもなく近寄っていってしまう。


お互いに、無事に帰れるよう励ましあいながら、
守口市の改札付近で別れる。「きっぷを買って、間に合えば」と言った長谷川さんは、
ついにホームに現われなかった。ドアのガラスから、ずっとホームを見ていたが、
長谷川さんらしき人影は、ついにホームに現われなかった。


読了。
坪内祐三文庫本を狙え! (ちくま文庫)』(ちくま文庫


体調もあってお酒を飲まずにいたのだけれど、
さすがに疲れてぐったりとしている。それでも、
閉じた文庫の替わりにハードカバーを鞄から取り出すのはなぜ。


車中のとも。
野呂邦暢 岡崎武志編『夕暮の緑の光 (大人の本棚)』(みすず書房

紙の本はなくなる、とヒステリックに叫ばれる時世で、私はこの挿話一つを抱きしめたくなる。(p.225)


眠気をまぶたにぶら下げながら、オカタケ師匠の解説を読んでしまう。さて近鉄奈良
明日そのまま『夕暮の緑の光』を持っていかずに別の本にしようと思ってしまうあたりに、
オカタケ師匠のおぼえめでたくない感じが生じてしまうのだろうなぁ。しゃあないね。
ほんと、新刊とか欠かさず買いそろえたりしないし、買った本も積んであるし。


関口良雄とか『昔日の客』とか、かなりここ数日の「とり読書」に重なってきてる内容のはずなのに、
どうしてなの?他に何が読みたいの?もっと感傷を直撃するのを読みたいの?


妻子が寝静まった家に帰宅して、こそこそと本棚から一冊、ひっぱりだす。


感傷のとも。
島田潤一郎『あしたから出版社 (就職しないで生きるには21)』(晶文社