生温い日常の価値とは

未来のだるまちゃんへ


少しだけ早い時間に起きて、
少しだけ早くいつもの電車に乗り込んで、
少しだけ早く送品表のチェックを終えて、
今日はケータイを開かずに本を開く。


車中のとも。
佐々涼子紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(早川書房


第五章まで読み終えて、本を閉じる。
仕事だ。いろいろと頭に浮かぶことはあるけれど、
やたらとツイートするわけにはいかないような、
他人に聞かれるとまずそうなこともある。


無難な言い方をするならば、
「仕事をがんばろう」という気持ちになった、
ということなのだけれど。無難だなあ。


単純に、復興の様子を読んで、
「あんな風に働けたらいいな」というのは、
なんか物凄く言ってはならないことのように思うのですよ。
それでもやはり、普段の自分の日常シゴトを省みて、
「生温いな」と思ってしまう。比べるのは、
なんか違うと思いつつも、つい。


データを見ると、うちのお店で売れたのは、
ぼくの買った1冊でしかないみたいだった。
けれど、気が付くと、追加発注してしまっていた。
『発注して並べるだけが書店員の仕事じゃねぇぞ』と、
心の中でオヤカタみたいな声が聞こえる。


気になる新刊。
かこさとし未来のだるまちゃんへ』(文藝春秋


帰りの電車では、野球部のはなしのところまで読んだ。