旅つなげ!本つなげ!

紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている


読了。ゆうべ。
紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(早川書房
日付が変わってしまったけど、このくらいなら、
と一気に読み干してしまった。このくらいなら、
明日の仕事にも差支えないだろう、と。


差支え、どころか、
叱咤激励を受けてしまった。


著者は、この本を作るにあたって、
取材した日本製紙石巻工場の人々から、
重いたすきを受け取ったのだろう。
そして、見事な構成・文章で、
そのたすきをつないできた。


そしてそこには、ただこの一冊、としてではなく、
出版というこの世のたすきリレーのひとつのあり方も含めて、
次の誰かにつないでいこう、という気持ちがこもっている。
それは、著者の個人的な気持ちだけでなく、この本の中で、
ぼくが涙をこらえて追いかけてきた人たちが闘ってきた「仕事」にも、
含まれていたのだということに気付いて、深くため息をついた。

 本が手元にあるということはオーストラリアや南米、東北の森林から始まる長いリレーによって運ばれたからだ。製紙会社の職人が丹精をこめて紙を抄き、編集者が磨いた作品は、紙を知り尽くした印刷会社によって印刷される。そして、装幀家が意匠をほどこし、書店に並ぶのだ。手の中にある本は、顔も知らぬ誰かの意地の結晶である。
 読者もまたそのたすきをつないで、それぞれが手渡すべき何かを、次の誰かに手渡すことになるだろう。こうやって目に見えない形で、我々は世の中の事象とつながっていく。(p.257)


読者が、その先へつなぐ相手は誰か。
手渡すたすきは、何か。


本屋であるぼくは、まず、また別の読者に、
この本をつなぐ役目がある。


朝方、夢の中で、石巻工場の人たちと、
一緒に働いていたような気がした。
すごく頼もしい気がして、目が覚めて、
支度をしているとき、心が穏やかだった。


気になる新刊。
安村敏信別冊太陽219 妖怪図譜 (別冊太陽 日本のこころ 219)』(平凡社


読了。
近藤雄生『旅に出よう――世界にはいろんな生き方があふれてる (岩波ジュニア新書)』(岩波ジュニア新書)
やはりジュニア新書は(ちくまプリマー新書とかも)このくらいバシッと
中高生向けに書いてあると嬉しいなぁ。そして、
それを大人も読んだら、効く、っていう。


帰宅して、届いていた。
『本 2014年 07月号 [雑誌]』(講談社
表紙は、市場の古本屋ウララじゃないですか。