忘れた苦味、応答せよ。

桜桃忌だから、部屋のすみの段ボールひっかきまわして
新潮文庫の『ヴィヨンの妻』を取り出し、「桜桃」を読んでみた。
雑誌『世界』昭和23年5月号に発表されたそうな。
「子供よりも親が大事。」この桜桃は、苦い桜桃。


同じ段ボールから、『津軽』も一緒に取り出した。
きのう、問い合わせがあったのだ。幸い、店頭に在庫があり、
無事にお渡しすることができたのだが、なにゆえに、今、
津軽』を購入しようと思ったのか知りたかったな。


津軽』の最後の方を読む。バスを降りて、「越野たけ、という人を知りませんか」というところから、
最後まで。太宰治を黙々と読んでいたのは、中学の頃だったか。読み直したいと思うことは時々ある。
きっかけは、いろいろある。今日は、桜桃忌。こうして、機会はめぐりくる。


休日のとも。
太宰治ヴィヨンの妻 (新潮文庫)』(新潮社)
太宰治津軽 (新潮文庫)』(新潮社)
本の雑誌編集部『本屋の雑誌 (別冊本の雑誌17)』(本の雑誌社

本屋は探し求めていた本を買いに行く場所ではない。知らなかった本を手にする場所なのだ。
北條一浩「本屋が好き、空虚が好き」(『本屋の雑誌』(本の雑誌社)p.400)


担当替え、というか、担当ジャンルが増えたのを機会に、
今度こそ、仕事のやり方を考え直さなくちゃなぁ、と、
シャープペンシルを片手に、あれこれ考えようと試み。
糸口はいくつかつかめたみたいだが、そこ止まり。


購入。フジケイ堂 もちいどの店。
まんが日本昔ばなし第六巻』(二見書房)


子どものころに持っていたやつだろう。
5冊箱入りの小さなやつ。他の巻もたくさんあったけど、
自分の持っていたやつしか買わなかった。もう一組、
別の箱も買おうかと思ったのだが、決めきれず。
収録されているのは、しょじょ寺の狸ばやし、
耳なし芳一、おいてけ堀、初夢長者、
乞食のくれた手ぬぐい、の5冊。


ぼくの場合、知らなかった本を手にする喜びよりも、
探し求めていたのに忘れてしまった何かを思い出すために、
本屋さんを訪ねるのかもしれない。