冬に限る、と思う

冬の本


昨日、北村知之のことをツイッターでつぶやいたら、
ふたりのひとからコメントをもらった。


人気者か!


晩鮭亭さん(id:vanjacketei)は、
「北村さんの文章を読むことは僕にとって無上の喜びのひとつです。」
とまでおっしゃっている。すごい。


車中のとも。
冬の本』(夏葉社)


蟲文庫田中美穂さんの「竊書」を読む。


読み終えても終わりの感じがしない、
一緒にお茶を飲んでいるひとの話を聞いているような、
話の続きがあるような、そんな印象の文章だった。


ちなみに文章のタイトルの「竊書」にはルビがなく、
文中に登場したときにルビ。 このタイムラグ!


ステキな文章がぎっしりつまっている『冬の本』だが、
ひとつひとつの文章が見開きで読み終えられるので、
引用するのは至難の業だ。最後の一文に打ちのめされても、
それをここに引用してしまっては、台無しになるし、
途中の文章もまた、なかなか引きにくい。


そこで、書き出しの一文だ。


締めの一文と同じように、冒頭にも並々ならぬ気合いが入るはずだが、
名久井直子のこいつには、参ってしまう。この一文だけを頼りに、
冬の日を乗り切れるような気がする。古本屋さんはいますぐ、
このことばを色紙に書いて入り口に飾るべきである。

古本屋を開拓するのは、冬に限る、と思う。(p.120)
名久井直子 「見知らぬ本が降ってくる日」


今日は杉田比呂美から堀込高樹