冬の本屋

冬の本


ぐずる娘を妻に託して駅まで走る。
ギリギリ間に合った。罪悪感を覚えながらも、
せっかくの妻の好意を無にしないように、
しっかりと楽しまねばという気持ち。


ところが、本に夢中で降りる駅を逃す。
ふたつ先の駅から引き返す、乗り換え案内を見て、
お金を用意して降りる。走る。乗るはずだった京阪に、
ギリギリ間に合った。「せっかくの好意」も、命拾い。


さて、恵文社。開店早々に飛び込む。
ギャラリーでの古本市に行く前に、
あたまとからだを馴染ませるため、
レギュラー棚を散策。いいなぁ。


次の予定があったので、追われるような気持ちで、
古本市も駆け足で回った。でもそれくらいでないと、
一日中、棚の間をうろついて餓死するはめになるからなぁ。
それにしても、恵文社の棚がどのように僕を魅了しているのか。
まだうまく説明できない。恵文社を堪能したあと、
カフェでひとり、じっくり検分してみなけりゃ。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
藤子不二雄Aまんが道 1 (GAMANGA BOOKS)』(小学館
佐内正史佐内正史詩集 人に聞いた』(ナナロク社)
安田謙一なんとかと なんとかがいた なんとかズ』(PRESSPOP INC)
青山裕企〈彼女〉の撮り方』(ミシマ社)
TOKYO BOOK SCENE (玄光社MOOK)』(玄光社
鈴木裕之ナンセンス図画帖』(青幻舎)
北杜夫見知らぬ国へ』(新潮社)
樋口哲子、中島岳志父ボース: 追憶のなかのアジアと日本 (白水Uブックス)』(白水社
内田樹、光岡英稔『荒天の武学 (集英社新書)』(集英社
池内規行『人間山岸外史』(水声社
今尾恵介『地図で読む昭和の日本: 定点観測でたどる街の風景』(白水社
大竹昭子日和下駄とスニーカー―東京今昔凸凹散歩』(洋泉社
上林曉『ツェッペリン飛行船と黙想』(幻戯書房
養老孟司庭は手入れをするもんだ 養老孟司の幸福論』(中央公論新社
山本善行定本 古本泣き笑い日記』(みずのわ出版
レイモンド・チャンドラー村上春樹大いなる眠り』(早川書房
COCHAE(コチャエ)『トントン紙ずもう (WORK×CREATEシリーズ)』(コクヨS&T
tupera tupera『Pooka+―How to play?tupera tuperaのあそびかた』(学研教育出版
マーク・アランスタマティー、徳永里砂『3万冊の本を救ったアリーヤさんの大作戦―図書館員の本当のお話』(国書刊行会


『人間山岸外史』山岸外史は、『人間太宰治*1の。
『定本古本泣き笑い日記』は、いずれ善行堂で買おう。


購入。
冬の本』(夏葉社)
小沢正、武井武雄だるまさんがころんだ (日本のえほん)』(小峰書店
増田宗昭代官山 オトナTSUTAYA計画』(復刊ドットコム
新文化」編集部『列島書店地図―激戦地を行く』(遊友出版)
『BOOK5 2012年7月 第2号』(トマソン社)


『だるまさんがころんだ (日本のえほん)』と、
『代官山 オトナTSUTAYA計画』は、ヌマ伯父さんの出品。
『代官山・・・』は美本過ぎて、レジのお姉さんが通常価格で打刻。
あとで、駅まで行ってきっぷ買ったところで気がついて、
引き返してレジ打ちし直してもらった。ケチでごめんね。


ヌマ伯父さんの本には、一冊ずつ栞がはさんであって、
そこには「たくさんの本の中から僕を選んでくれてどうもありがとう。」
ということばが印刷されている。「僕」には「ブックン」のルビが。
『列島書店地図―激戦地を行く』は三月書房さんの出品。


読了。
長嶋有エロマンガ島の三人 (文春文庫)』(文藝春秋

男は常にダブルボギーでなきゃ。(p.145)「アルバトロスの夜」


次の予定に向かう電車で読み終えた。これで帰りは『冬の本』だ。
しかしこの本、とても良かった。ひとつひとつの作品も、
全体の構成も良かった。解説も、なんかよかった。
よかった、よかった。初めて読む人のために、
多くを説明できないので、あほうのように、
「よかった、よかった」を繰り返すばかり。


初めて読む人と、いつか読み直す僕のために。
忘れてしまって、いつかふたたび。


車中のとも。
冬の本』(夏葉社)

1冊の本として『冬の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「冬の本」に向かって旅するきっかけになれば、こんなにうれしいことはありません。(はじめに)


「はじめに」と目次を読み終えたところで、さて、
どう読んでいこうかと、しばし本を閉じて瞑目。
帯の背にある「冬は読書」という言葉と、
その下にある夏葉社という文字と。


反対の季節を照らしあう小さくて幸福なスペース。
いやぁ、ステキな本に出会いました。
ありがとう、世界。