なんとか生き返りたい

二十歳だった頃


土曜に悪化した体調は回復せず、とうとう休んでしまった。
昨日に引き続き、家でじっとしていた。本を一冊読み干す。
眠ったりもした。苦しい。


読了。
岩瀬成子二十歳だった頃』(晶文社

結局その後も、デニーの身に何が起きたかを確かめることはできなかった。生きていてほしいと思った。なんとか生きて故郷に帰っていてほしい。でも、わからない。二十歳だったのだ、デニーは。一九七〇年、岩国からベトナムに向かった。そして、それっきり消息不明となってしまったのだった。(p.93)


基本的には時系列順に綴られていく青春記だが、
ところどころで「もう会えなくなった人」についての、
淡々とした回顧的記述があり、その瞬間にぱっと、
「書いている現在」との隔絶が明滅する。


つぎつぎと登場する「会えなくなった人」に混じって、
五十男のツトムくんと再会できたシーンは、
ことさら心温まる。淡々としているのだが。


終わりのほうに、今江祥智が登場する。
あとがきには、晶文社中川六平の名前も出てくる。
「つながっている」と思った。


とても面白かった。