不注意者の乗る電車

回送電車 (中公文庫)


昨日はうっかり、妻の鍵も持って出かけてしまったが、
今日は、職場に弁当箱を忘れてきてしまった。
不要なものを手にして、必要なものを置いてくる。
これは・・・、単なる不注意者、気の利いた教訓は、ない。


読了。
堀江敏幸回送電車 (中公文庫)』(中央公論新社

娘に借りた本を鞄に入れて、都心の打ち合わせ場所までバスで出かけた。(p.251)


いつか、僕も娘に本を借りることがあるだろうか。
なんというか、バスで出かけることも含めて、
うらやましすぎる一文。もっとも、結末については、
ちょっと悲しすぎるので、フィクションであってほしい。


一番最後に「ながい追記として」と付されて、
「リ・ラ・プリュス・プリュス」という文章が載っている。
これは文庫化に際して、初出時・単行本刊行時の誤りを、
訂正しながらのさらなるエピソードの紹介、ということで、
なんともこの本の締めくくりにふさわしすぎる状況。


単行本の装丁がとてもすてきだったので、文庫化したものの、
なかなか手に入れる気持ちになれなかった『回送電車』だったが、
いやー、文庫で読んで良かった、という気持ちになりました。
単行本しか読んでないあなた、文庫でもぜひ。


『クレーン男』や『ムギと王さま』など、最近読んだ本で
紹介されていた児童書が登場していたのも嬉しい偶然。
回送電車に乗って、どこまでも読み続けていたい本。
いずれ、続編にも手を伸ばしてゆくだろう。


購入。
男の隠れ家 2012年 04月号 [雑誌]』(朝日新聞出版)
阿川佐和子聞く力―心をひらく35のヒント ((文春新書))』(文藝春秋


『男の隠れ家 2012年 04月号』特集は、
「本のある空間、本と過ごす時間」。