古本道、再入門
自転車で、大和西大寺のほうへ行った帰り、
ブックオフに寄る。こないだ読んだ『読書の腕前』*1の熱を借りて、
何冊か、買って帰る。久しぶりだな、こういう買い方。
購入。ブックオフ奈良法華寺店。
佐藤泰志『海炭市叙景 (小学館文庫)』(小学館)
堀江敏幸『めぐらし屋 (新潮文庫)』(新潮社)
松浦弥太郎『くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集 (集英社文庫)』(集英社)
吉行淳之介『特別恐怖対談 (新潮文庫)』(新潮社)
河合隼雄『こどもはおもしろい (講談社+α文庫)』(講談社)
池上彰『伝える力 (PHPビジネス新書)』(PHP研究所)
伊藤まさこ『ベビーブック―もの、こと、おはなし』(角川SSコミュニケーションズ)
石村由起子『小さな幸せみつけた』(主婦と生活社)
『海炭市叙景』は、オカタケ師匠が『読書の腕前』で紹介していた、
今となっては"有名"な一冊。『読書の腕前』の頃はまだ、
知る人ぞ知る本だったのですね。『古本道入門』でも、
佐藤泰志と函館について、書かれております。
『特別恐怖対談』では、星新一や沢木耕太郎、和田誠などが登場。
これも、『読書の腕前』の中で出てきた対談本の話題によって、
手が出た一冊。僕も、対談集はけっこう気になるほうだったが、
買っても読まない状況が続いたから最近は控えていたのだった。
全部で4冊ある吉行の「恐怖対談シリーズ」は、縁がなかったか、
一冊も持っていなかった。これを読み干したら、ごほうびに、
シリーズを集め始めることを自分に許そう。
『ベビーブック』と『小さな幸せみつけた』は、
妻におみやげ。帰宅後に『古本道入門』を読み進めていたら、
池谷伊佐夫の紹介のところで「古書道楽は伴侶の理解が欠かせない」
と、池谷の言葉をひいていた。おっしゃるとおりで。
読了。
岡崎武志『古本道入門 - 買うたのしみ、売るよろこび (中公新書ラクレ)』(中央公論新社)
あとがきにあるように、この本は、オカタケ師匠の、
古本と名のつく著書の集大成という気持ちで書かれたそうで、
単なる古本愛を披露したものでなく、先人からのバトンを、
次代へつないでいこうという、伝道師のような気概を感じた。
もともと「古本」という存在自体が歴史をしょっているようなもんだが、
それを扱う達人たちを各章の終わりにコラムで紹介して、
「古本道」の道筋をほのめかしてくれている。なんというか、
昔っから、古本が好きな人ってのはたくさんいたのね、という。
僕が好きなオカタケ師匠のことばに、「わたしはわたしの風邪を引く」
という、「それぞれ好きなように古本とつきあえばいいのよ」みたいな
のがあるが、(うろ覚えにもほどがあるネ、師匠ごめんなさい)
達人たちの人それぞれに古本との付き合い方、愛し方があり、
コラムでとりあげている以外にも、いろいろな"古本者"が紹介されていて、
「古本道」てのはなんとも楽しそうな道じゃないか、と思わせてくれる。
なにか「●●流」みたいなのがあるわけでなく、それぞれ個人的に、
古本が好きな人たちがひしめきあって、互いに影響しあいながら、
時代を流れていく、みたいな感じ。桃太郎の入った桃が、
めちゃくちゃたくさん流れていく、みたいな感じ。違うな。
まぁ、いいや。
逗子を去った後で鎌倉の古本屋の紹介を読むのは辛かったが、
なんと、その後に「ならまち」が紹介されているではないか。
奈良もちいどのセンター街に古本屋が集まっているのは
何度か足を運んで気になっていたが、まさか、
師匠が紹介するほどの存在だったとは。
「即売展」についての文章も面白く読んだ。
今のところ、関心を持てずにいるが、ケストナーの『人生処方詩集』*2が、
そんな値段で買えるなんて、なんて羨ましいんだ、即売展。
第八章では、店主になることについても書いてある。
こっちでも、一箱古本市、あるんだろうか。
師匠にはネット販売は無理、とのこと。同感だ。大変そう。
では、いつか店舗を持って、師匠を迎える日が来るのだろうか。
きっと並べている本には目もくれず、「そのスケスケのバッグがいいね」、
とニコニコ笑ってくれるに違いない。んー、成長してないな、それでは。
ま、いいか。わたしはわたしの風邪を引こう。
*1:岡崎武志『読書の腕前 (光文社新書)』(光文社)
*2:エーリッヒ・ケストナー、小松太郎『人生処方詩集 (ちくま文庫)』(筑摩書房)