ゆっくり読むようになってから

増補 遅読のすすめ (ちくま文庫)


暗い部屋で、ケータイのアラームを止める。
ラクタを開けば、充電残量が少ない。充電器に、
しっかりセットできていなかったらしい。
今日は、ケータイいじりを控えよう。


眼鏡かけには悩ましいくらいの、ささやかな雨降り。
信号のところまで小走って、けっきょく傘を差す。
今日の電車は、前向きシート。嬉しい。


車中のとも。
山村修増補 遅読のすすめ (ちくま文庫)』(筑摩書房

読了のよろこびというものが、読書のよろこびのうち、もっともたいせつなものの一つとしてあると私は思う。(p.46)


ですよねー!!
と、思わず脳内ででかい声が出る。
二章「幸福な読書」の冒頭、小林秀雄が登場する前あたりまでを立ち読みして、
購入を決めたのを思い出す。あべのセレクト。出会えてよかった。


「二章 幸福な読書」を読んだ。「読みたい本の話」に通ずるところ、その他もろもろ、
叩きすぎて膝が痛くなるほどの共感どころだらけ。オカタケ師匠の『読書の腕前』も思い出す。
もうひとりの自分を召喚して話し合いたい、などと思う。もうひとりの自分。
「読みたい本のことを話す」についてもヒントになりそうだ。
「じっさいに本を読むまえの幸福」(p.49)、おう!


そのまま、もっと読んでいたかったけれども、なんか興奮してしまい、
乗換え駅でのトーストセットを食べながら珍しくノートを出して、
あれこれと思いつくままにことばを連ねていたら、
遅刻しそうになって、急いで店に向かう。


いつもはケータイいじりながら行儀悪く昼食をとるのだが、
今日は文庫を読みながら行儀悪く昼食をとった。なかなか良かった。
帰りの電車でもどんどん読んで、「第一部 遅読のすすめ」の最後、
「六章 本を手にして」を読み終えそうなところまで。
読みながら階段を上り、改札を出る前、立ったまま、
「ゆっくり読むようになってからである」と読んだ。


ざわー、とりはだ、ざわー。
歓声が聞こえてきますよ!


倉田卓次、気になるな。