師匠の読書人生

読書の腕前 (光文社新書)


自分がおじいさんになったときに、
ふらりと本屋さんに遊びに行けるような、
そんな日本であってほしいから、
僕は、今日もがんばるのだ。


そのために、何をすればいいのか、
わからないけど、がんばるのだ。


読了。
岡崎武志読書の腕前 (光文社新書)』(光文社)


第六章「国語の教科書は文学のアンソロジー」では、
オカタケ師匠が自身の読書人生を振り返る。
これ、すごくいい。感動します。


幼い頃から学生時代までの本とのつきあい、
素晴らしい先生、ひどい先生の思い出、
文学との出会い。それにしても、よくもまあ、
こんなに覚えているものですなぁ。


山本善行という名前がさりげなくチラリと登場するが、
「それはまた別の話」とばかりにほんとうに一瞬だけ。

高校一年のとき同じクラスだった山本善行という男と、卒業後につきあうようになり、古本を巡る、濃厚なライバル関係を結ぶことになるのだが、在学中、彼と本の話をしたことはなかった。(p.252)


これだけ。そうかー、そうなのか。そしてまた、
ひとりで読書にいそしむ岡崎少年。その語り口には、
思わずゾクゾクとしてしまう。なんちゅうか、
大好きな連作モノを読んでる気分。


この本で語られないオカタケ師匠の人生には、
山本善行師匠が、ばばーんと登場するわけだな。
面白いなぁ。あ、お二人の本*1、読みたくなってきた。


国語の教科書がとても好きだった、というのは、
僕も同じ。今でも実家には、国語の教科書が残してある。
僕の通っていた中学・高校では教科書は使わなかったから、
もっぱら、新学年のしょっぱなだけ面白そうな文章を
拾い読みするのに使った。中三くらいのときに職員室で、
国語読本?みたいのをもらってきて面白く読んだ記憶もある。


読んでいて、気になった本をいくつか。
エリック・ホッファー、中本義彦『エリック・ホッファー自伝―構想された真実』(作品社)
片岡義男片岡義男 本読み術―私生活の充実 (シリーズ日常術)』(晶文社
遠藤周作ぐうたら交友録―狐狸庵閑話 (講談社文庫)』(講談社
庄野潤三夕べの雲 (講談社文芸文庫)』(講談社
谷沢永一紙つぶて(全)―谷沢永一書評コラム (文春文庫)』(文藝春秋
高橋源一郎人に言えない習慣、罪深い愉しみ―読書中毒者の懺悔 (朝日文庫)』(朝日新聞社
長田弘私の二十世紀書店 (中公新書 646)』(中央公論新社


実家に残してきた本で、読みたくなるものもあり。
でもそういうのって、いざ本棚の前に立つと、
目に入らなくなっちゃうんだよなぁ、なんでだろ。


気になる新刊。
名越康文毎日トクしている人の秘密』(PHP研究所