京都でゆっくり本を選ぶ

遡行 ---変形していくための演劇論


用事があって、京都へ。
出町柳でチャリを借りる。
よその町をヒトのチャリンコで走るのは、
なんともワクワクすることであるよ。


用事をすませて、三月書房に寄る。
今までで、一番じっくり棚を見たかも。
マンガ棚をこんなに見たことはなかったな。
途中、外から女性の声で「あ、古本屋だ」と聞えた。


店主は、「古本屋」と思われて、どう感じるのか。
やはり、「いやな気持ち」が湧くのだろうか。
少なくとも、「間違っている」のだから、
古本屋が好きとか、嫌いとかではなく、
「古本屋ではない」のだから。


とかなんとか頭のなかでぐるぐるさせながら、
何かを買いたいなーと物色。


気になった本。
星野博美島へ免許を取りに行く』(集英社インターナショナル
山田太一 ---テレビから聴こえたアフォリズム (文藝別冊/KAWADE夢ムック)』(河出書房新社
岡崎武志女子の古本屋 (ちくま文庫)』(筑摩書房
岡崎武志昭和三十年代の匂い (ちくま文庫)』(筑摩書房
野呂邦暢豊田健次棕櫚の葉を風にそよがせよ (野呂邦暢小説集成1)』(文遊社)
別役実東京放浪記』(平凡社


購入。三月書房。
岡田利規遡行 ---変形していくための演劇論』(河出書房新社


チェルフィッチュの公演を観たことがないので、
その前に本を読むことに抵抗もなくはなかったのだが、
「はじめに」を読んで、自分の経歴を記述するときの
「遡行しながら記述する」という説明が面白かったので、
欲しいな、と思った。レジに貼ってあった、
「図書カードが使えます」が最後の決め手。


思いがけずゆっくりしすぎてしまって、
お腹もグーグー鳴り出した。途中、コンビニでパンを買い、
京都大学にちょこっと寄って、庭みたいなとこのベンチで
ささーっと食べる。留学生らしきヒトが英語をしゃべっている。


あまり通ったことのない道をたくさん走って、
ひさしぶりに善行堂*1を訪れた。先客がいて、
善行さんとお話している。こちらでもゆっくり、
棚を楽しむことが出来た。今までで一番ゆっくり。


コンディションがよかったのかもしれないな。
途中で善行さんとふたりになる。どうやって声をかけようか、
頭の中でぐるぐるしながら、外の本も見たりする。


気になった本。
椎名誠新橋烏森口青春篇 (新潮文庫)』(新潮社)
色川武大怪しい来客簿 (文春文庫)』(文藝春秋
谷沢永一紙つぶて(全)―谷沢永一書評コラム (文春文庫)』(文藝春秋
井出孫六その時この人がいた―もうひとつの昭和史 (ちくま文庫)』(筑摩書房
片岡義男自分と自分以外―戦後60年と今 (NHKブックス)』(日本放送出版協会
高階杞一『早く家へ帰りたい』(夏葉社)


『その時この人がいた』は、知らなかった本。
帯つきと、帯なしがあった。迷った末、買えず。


購入。
山本善行定本 古本泣き笑い日記』(みずのわ出版
椎名誠活字のサーカス―面白本大追跡 (岩波新書)』(岩波書店
アラン・ブース、柴田京子津軽―失われゆく風景を探して (新潮文庫)』(新潮社)
本の雑誌 310号』(本の雑誌社


お会計のときに、ようやくお話ができた。
自分の勤め先のことや、オカタケ師匠の話も出た。
岡崎さんがバスの座席を自宅に置きたい、と言っていた話は、
今日読んでいる『読書の腕前』にも出てくる。


善行さんが、通勤電車で25年間本を読んできた、
という言葉は、なんというか、頼もしく響いてきた。
僕も電車で読むのが一番集中できるし楽しいので、
なんか嬉しかった。でも、電車のシートを自宅に持ち込むのは、
どうかなぁ。電車の中で、移動している、っていう環境全てが、
読書の深さに作用していると思うんだなぁ。揺れとか、騒音とか。


オカタケ師匠と違って、僕はバスのなかでは本が読めない。
酔ってしまう。師匠も、ほんとはバスの座席なんか欲しくないのかもしれない。
どうだかなー。またオカタケ師匠と善行さんのトークショーが聞きたいなぁ。


恵文社にも寄ろうと思っていたのだが、
ずいぶんと遅くなってしまったから、
自転車を返却して、京阪に乗る。


車中のとも。
岡崎武志読書の腕前 (光文社新書)』(光文社新書

いかにたくさんの「おもしろがり方」を持っているかで、死んだ本がよみがえる。(p.129)


オカタケ師匠の本のなかでも、いちばん好きなのがこの本。
「はじめに」が、とてもよい。本を読むことのシンプルな楽しみを再確認する。
今日は善行堂に行くことを決めていたので、善行さんの本にしようかとも思ったが、
こっちにした。本を読む意欲をかきたてたい気分だったのかもしれない。