いつか去り行く嵐とて

なずな


妻が、娘を連れて実家に帰ってしまった。
昨日のことである。


ひとりぼっちの休日は、4ヶ月ぶりか。
朝からの雨の中、どこにもでかけず、
本を読むでもなく、なんとなくネットサーフィンしているうちに、
台風が来て、しきりに窓を打ち鳴らし、軽い停電を置き土産に、
さっさとどこかへ去って行った。
夜が来ていた。


読了。
堀江敏幸なずな』(集英社


ゆっくり、実にゆっくりと読み進めていたのだが、
ちょうど我が子の成長と平行しているくらいの、
育ちゆくなずなの様子に、共感したり嫉妬したり。
(初めての涙の登場を、そういえば覚えてないぞ、とか)


今日はとりわけ、比べるべき娘がいないものだから、
ちょっと寂しくなってしまった。しかし、主人公にとって、
なずなは我が子ではないわけで、そう思うと、この先も、
ずっと成長を見守れる我が身の幸せを再確認したり。

タイミングを見計らったように、「あ」となずなが澄み切った声を出す。私たちは坂の上で顔を見合わせ、大いに笑った。なにがおかしいのかわからないのだが、腹の底から笑った。(p.387)


家にひとりでいると、なんとなく時間を持て余すようで、
気がつくと、びっくりするくらい時間が経っていたりもする。
来月、あの子が戻ってきたら、どれほど変わっているのか、
ちょっと心配である。正直、足踏みしていてほしいくらいだ。