我々、本を愛好する者たち

本を開いて、あの頃へ


車中のとも。
堀部篤史本を開いて、あの頃へ』(mille books/サンクチュアリ出版)
僕の大好きな本屋さんの恵文社一乗寺店の店長が、
こういうことを言っているということが無性に嬉しくて、
僕は電車に揺られながら涙を流しそうになりました。

大型チェーン書店の台頭、契約更新の問題など、その後も様々な問題が次々に襲いかかる。この本を読み進めるにつれ、まるで優れた群像劇を観るように引き込まれながらも、頭の片隅にあるあらかじめ知っているこの物語の終焉、つまりこの書店は今はもう無いという事実にたどり着くのが不安で仕方なかった。黄金期を知ればこそ、その黄昏を知るのは辛い。なぜなら我々、本を愛好する者たちが、本屋に求める最たることは「そこにしかない店がそこにあり続けてくれる」ことである。お気に入りの店が改装されたり、大型ショッピングモールに新規出店してくれることを求めているのではない。いつもその場所にあって、知らない本を置き続けてくれること、それこそが本を愛する人間にとって、この世界に残された一握りのささやかながら「揺るぎない幸福」の一つなのではないだろうか。(p.62)


長く、続けてくださいね、堀部さん。
年末にうかがいます。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
山口さやか、山口誠『「地球の歩き方」の歩き方』(新潮社)
飯沢耕太郎写真的思考 (河出ブックス 8)』(河出書房新社