僕には本屋さんが必要です
先週の土曜日くらいからドキドキしながら、
果たしてきちんと仕事にケリをつけて、
島田さんに会いに行けるだろうかと、
できる作業を先取りするつもりで働いてきた。
車中のとも。
エーリッヒ・ケストナー、高橋健二『ケストナーの終戦日記―1945年、ベルリン最後の日 (福武文庫)』(福武書店)
まえがきを読む。
戦争を生き延びた人の声に、
耳をかたむける。
「町には本屋さんが必要です会議Vol.8@京都左京区」
なんとか、間に合うように京阪特急に乗り込むことができた。
二階建ての車両に迷い込んで、ほんとうにこの電車でよかったのか、
不安になりながら、パンをかじる。ケータイをいじる。
開場すぐにコテージへと向かうと、
島田さんご自身が受付をされていた。
来場者ともれなく言葉を交わせるシステム。
すばらしい。ご挨拶できてうれしい。
最前列に席を確保して、駆け足で恵文社店内を見に戻る。
棚を回遊していたMさんを見つけ、声を掛ける。
相変わらず、ネットやツイッターでぼくが気になった本が、
そこここに並んでいて、恐れ入る。手に取って、重さを確かめる。
「町本会」自体には、初めての参加だったけれど、
島田さんや堀部さんがお話する会には何度か顔を出していたから、
ぼく自身はなんだかとても寛いだ気持ちでふたりの会話を追っていた。
かなり早い段階で島田さんが、堀部さんの返しに感服・降参してしまって、
おそらく「町本会」の切実な危機感は、居着いてしまったんじゃないかしら。
個人的にはいろいろとヒントや刺激をもらったのだけれど、やはり、
何か自分の抱いている不安や、町の本屋さんの行く末に対する不安とは、
少し違う次元の話だったようにも思う。そして、その不安に立ち向かうのは、
結局じぶん自身でしかないんだろうな、とため息をついた。(しっかり!)
本屋さんの持つ魅力・効能(?)と、雑誌の持つそれが、
通じるところがあるように、堀部さんの話を聞いていて思った。
Amazonと本屋さん、インターネットと雑誌、それぞれの対比で、
自分の知らないこと、現時点では興味を持っていないことに触れる機会を得て、
また、その情報がどのような文脈で語られうるかを学ぶことができる。
雑誌担当としては、身の引き締まる思いをいたしました。
それにしても、島田さんはチャーミングだなぁ。
隆祥館書店でのトークイベントのときも面白かったけれど、
なんというか、正直で、お茶目で、切実な思いを抱えていて、
話を聞いていると、こちらの悩みや思い付きがいろいろ刺激を受ける。
会の最後に、堀部店長が夏葉社の本を一冊おすすめして、
それに対して島田さんが感極まるように、「この本、大好きなんです」
と言った姿に感動。他に候補に挙げていた夏葉社の2冊はまたの機会に、
ということで、それを抱えて再び一乗寺店の店内へと向かった。
Mさんと再び言葉を交わす。同じ店に勤めているひとと、
こういう会話ができたらもっといいんじゃないかしら、
と思いつつも、「違う店、違う会社だからこそのやりとり」に、
特別な効能があるのかもしれないと、小刻みに頷く。
Mさんと別れたあとも、棚を見て回る。
質疑応答で、書店開業を目指していると言っていた方がいらしたので、
チラシをいただく。みなさん、それぞれに「本屋」しているなぁ。
こちらの方は、クラウドファンディングで資金を集めているそうな。*1
購入。恵文社一乗寺店。
伊藤整『近代日本の文学史』(夏葉社)
都甲幸治『狂喜の読み屋 (散文の時間)』(共和国)
気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
加藤文俊、木村健世、木村亜維子『つながるカレー コミュニケーションを「味わう」場所をつくる』(フィルムアート社)
都築響一『ROADSIDE BOOKS ── 書評2006-2014』(本の雑誌社)
ケン・キージー、岩元巌『カッコーの巣の上で (白水Uブックス192/海外小説 永遠の本棚)』(白水社)
林典子、ナショナルジオグラフィック『キルギスの誘拐結婚』(日経ナショナルジオグラフィック社)
レナード・コーレン、内藤ゆき子『Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers』(ビー・エヌ・エヌ新社/BNN新社)
アラタ・クールハンド『HOME SHOP style (Hi books)』(竹書房)
山田太一『月日の残像』(新潮社)
野呂邦暢、岡崎武志(解説)『小さな町にて――随筆コレクション 2』(みすず書房)
石田千『夜明けのラジオ』(講談社)
田河水泡『のらくろ喫茶店 [カラー復刻版] (のらくろ 幸福(しあわせ)3部作)』(復刊ドットコム)
原研哉、武蔵野美術大学原研哉ゼミ『Ex-formation ふたり』(平凡社)
車中のとも。
伊藤整『近代日本の文学史』(夏葉社)
荒川洋治の巻末エッセイを読む。
今日の読者は、少数の作家の作品だけに関心をもち、みずからの読書をまずしいものにする傾向がある。文学史は、歴史に表れた群像を描き、作品や書いた人の生き方を見ていくもの。(p.432)
車中のとも。
都甲幸治『狂喜の読み屋 (散文の時間)』(共和国)
帯に、「都甲幸治は裸で叫んでいる。外国文学の素養、
文学史の知識なんていらない。」とある。
あたしゃ、文学史も一緒に購入したんだ。
いらないなんて言わないでおくれ!
こちらもあとがきから読む。面白い。
黒岩比佐子さんのことも書かれていた。
この本の造りも、とてもステキ。
軽いけど手にしっくりくる。
戦争に行くより、本屋さんに行きたいな。