いつの日か、また聞いてくれますか
仕事が終わらなそうなとき、
頼みの綱は、早起き。たいていは、気持ちだけで、
いつもと同じ電車に乗ることが多いのですが、今朝は、
なぜかパッと目が覚めて、早い電車に乗ることができた。
準急。途中の停車駅が違うから新鮮な感じ。
送品表をチェックしたあとでも、まだ着かない。
文庫を取り出す。仕事のことから目をそらして。
車中のとも。
堀江敏幸『その姿の消し方 (新潮文庫)』(新潮社)
6年ぶりくらいに、同僚に「本屋愛」を語った。
例の、おじいさんになった頃にも、というやつだ。
バトンを渡していきたい、というやつだ。
聞いてくれる人がいると、内側の思いが、表に出てくる。
聞いてくれる人がいないと、その思いは、消えてしまう。
そうだろうか。内側で、沈黙を守っているだけで、
その思いは、ひそかに燃え続けているのではないのか。
わからない。少なくとも、
むりやりに口を開かせることは、
あまりよろしくない気がする。
ふと、そばに、聞いてくれる人がきたとき、
その火が、まだ燃え続けているのかどうか、わかる。
聞いてくれるヒトがいないときに、
どのようにしてその火をつないでいくか。
かつて、聞いてくれたヒトを訪ねていくのは、
いいかもしれない。また、聞いてくれますか。
夜、妻と7才児が帰って来た。
にぎやかな声が部屋中を飛び交う。
魂が、回復する。