孤独に鈍感なとりの魂

フォトドキュメント東大全共闘1968‐1969 (角川ソフィア文庫)


比較的、穏やかな目覚め。
妻がすでに起きて何か仕事をしている。
母がトイレから戻ってきたところに「おはよう」と、
声をかけた。別れのあいさつはゆうべすませてある。


着替えたりなんだり支度をしている間に、
妻が弁当を用意してくれた。子らは起きてこない。
起きてこなくていい。ゴミ袋を持って、家を出た。
今朝もけっこう、シビアな時間だ。強めの小走りで、
前方の地面にいる鴉へと突進していく。やたらと、
鳥の鳴き声がしている、と思いきや、軒下の、
おそらく燕の巣へ突入した鴉が、雛をくわえ、
飛び去っていくのが見えた。


電車へと駆け込むまでの間、「弱肉強食」とか、
自分の娘が「鴉」的な存在に連れ去られることとは何か、
とか、燕は雛を守れなかったことを悔やんだりするのか、
とか、燕は失った雛をいつまで悲しむのか、
そもそも悲しいとか思うのか、とか、
そんなことが頭の中をぐるぐる。


車中のとも。
大竹昭子須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京 (文春文庫)』(文藝春秋


「三ツ橋のむこう側」良かった。
須賀の掘り下げようとした孤独を、ぼくは理解しているだろうか。
理解していないのなら、ぼくの人生は始まっていないことになる。
須賀の自覚していった速度。いや、やはりぼくはまだ、
理解していないのだろう。孤独に鈍感な魂をもて、
ぼくは書店をさまよい歩いている。


気になる新刊。
渡辺眸フォトドキュメント東大全共闘1968‐1969 (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA
松岡正剛千夜千冊エディション デザイン知 (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA
松岡正剛千夜千冊エディション 本から本へ (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA
俳句歳時記 第五版 夏 (角川ソフィア文庫)』(KADOKAWA
中条省平アルベール・カミュ『ペスト』 2018年6月 (100分 de 名著)』(NHK出版)


『フォトドキュメント東大全共闘1968‐1969』
2018年の日本が抱えている様々な問題に対して、
写真の中の東大生たちが怒りの声をあげているように錯覚した。
『俳句歳時記 第五版 夏』さわやかな装丁。
第四版を平積みしたままにしていませんか。