須賀敦子に囲まれて

須賀敦子エッセンス1 仲間たち、そして家族


妻が東京に「出張」に行くので、
義父母が子どもの送りのために来てくれた。
駅までお義父さんに車で送ってもらう。


途中、文庫本を忘れたことに気づく妻。
ぼくの持っている文庫を貸そうかというも、
まだ時間があるとかで、取りに戻るという。


いつもより1本早い電車に乗れそうだったので、
階段を駆け下りる。いつもと違う階段から、
いつもと違う改札口を通り抜け、
いつもと同じホームの、いつもとは、
反対側に止まっている電車に飛び乗った。


妻が忘れた文庫は、大竹昭子の『須賀敦子の旅路』*1
ゆうべ、荷物に入れていくというのを聞いて、
それならばとぼくが鞄に入れたのは、こちら。


車中のとも。
松山巖須賀敦子の方へ (新潮文庫)』(新潮社)


病室の須賀敦子のシーンまで。書物や歴史の中の、文字だけの情報から、
一気に映像と感情を伴った場面へ転じた。これで、読んでゆける。
湯川豊の名前も出てきた。面白い本なのではという期待がふくらむ。


気になる新刊。
オリヴィエ・ル・カレ、 シビル・ル・カ、鳥取絹子呪われた土地の物語: かつて何かが起きた、そしてこれから起こるかもしれない40の場所』(河出書房新社


購入。
須賀敦子:著、湯川豊:編『須賀敦子エッセンス1 仲間たち、そして家族』(河出書房新社


車中のとも。
松山巖須賀敦子の方へ (新潮文庫)』(新潮社)

須賀を思い出すときまず脳裡に浮かぶのはあの笑顔だ。(p.68)


ぐんぐんと、引っ張られてゆく面白さ。
第二章まで、読んだ。うーん、いいなぁ。いい。
『ミラノ 霧の風景』、『コルシア書店の仲間たち』、
ヴェネツィアの宿』、『トリエステの坂道』と順に読みたくなる。
エッセンス買ったの、早まったかなぁ、なんて思ったり。


帰宅して、本の入ってたビニール袋を捨てに台所に行ってそのまま、
湯川豊の「あとがき」を立ち読み。やはり4冊それぞれ買いたかった気持ちもわいてきたが、
本を閉じてこのすてきな装画を見ると、いや、これ買って良かった、とも思う。
まずはこの本でエッセンスを吸収して、「須賀モード」に入るがよかろう。


子どもらを寝かしつける前に、妻が帰ってきた。
子らが寝た後に、今日の「出張」の成果をいろいろと聞く。
久しぶりに次々と言葉が溢れ出るようにしゃべっていた妻は、
気がつくと、ぱったりと眠ってしまっていた。残されたぼくは、
洗濯物を干しながら、なんとなくいい気分になっていた。