8月さいごの日曜に(2016)

幼児が、起きてきた。
靴をはいていると、玄関に見送りにきた。
ときどき、見送ってくれる。はっきり言って、
ものすごくうれしい。こういうことは、じきに、
忘れてしまうものだろうか。そして老人になってから、
思い出したりするものだろうか。


日曜のとも。
片岡義男日本語の外へ (角川文庫)』(角川文庫)

自分がどんな人なのか出来るだけわからなくしておきたい場のなかで、人は自分のことを『私』と呼ぶ。(p.390)


7頁ほど読み進めて、前に読んだところをたどっていたことに気づく。
しおりがわりに挟んでいた「近畿日本鉄道株式会社によるご案内」の位置が、
前回読み終えた箇所より手前だったのだ。「人生のすべては母国語のなかにある」を、
だからぼくはすごく丁寧に読んでいる。p.399あたりから未踏の文字に足を踏み入れて、
p.405の終わりから2行めまで来た。


読んではいけない秘密の文書を読んでいるようなスリルを味わっている。
すごい。


未踏の文字だと思っていたら、またも見覚えのある文章が現れて、こうべをたれる。
「丁寧に読んでいる」が、聞いてあきれる。初読が、ずさん過ぎて、恥ずかしい。


気になる新刊。
クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)』(KADOKAWA / 角川書店
小田嶋隆ポエムに万歳! (新潮文庫)』(新潮社)


   日曜出勤。
   滞りなく。


妻子が出かけているので、鶴橋でタンメンを食す。
うっかり瓶ビールを頼んでしまい、必死に飲む。
帰宅すると、不良乳幼児はまだ帰ってきてない。
シャワーを浴びて、期限切れの牛乳を飲む。


昨日届いた『読書人の雑誌 本 2016年9月号』(講談社)を開封する。
宇田智子さんの「ほんの序の口」は、コンタクトレンズをなくした話。
宇田さんの連載が始まるのをきっかけに定期購読した『本』、
ブックサービスから富士山へと、担い手が変わる。


タムラフキコさんの表紙、電車の並走。
たしかに面白い。近鉄奈良線でも、ときどきある。
ちょっと並走して、じきに離れていく。
銀河鉄道999とかを思い出したり。