急いだり、ぐずぐずしては、また急ぎ

百年後


子どもたちを保育園へ送り届けてから、
帰ってきて朝ごはん。最近どうも、
もっと食べたい、と思いがち。
小男の胃袋、知れたものだが、
だからこそ、うっかり食べ過ぎると、
すぐに具合が悪くなってしまいそうで怖い。


美容院に予約の電話を入れ、さらに図書館に借りた本の延長手続き。
ところが今日が期限の2冊のうち1冊は予約がかかっていた。
返しに行かねば。夕方には、歯医者の予約が入っている。
CDを次々取りかえながら、洗濯をして、ふとんをあげ、
ふと気がつくと、あれ、あまり時間がないぞ。


本を取りに入った部屋で、積まれた本の中からこないだブクブク交換会でいただいた一冊が現れた。
パラパラとしたら「はじめに」が面白すぎて止まらない。


難波功士創刊の社会史 (ちくま新書)』(筑摩書房


やばい、本当に時間がない。美容院のあとにしようかとも思ったが、
えい、と出かけることにする。返す本以外にまだ借りてる本が2冊あるから、
「また図書館に向かうために必ず借りる作戦」は不要にも関わらず、
なぜかあちこちの棚前でぐずぐず借りる本を探してしまう。


借りた。奈良県立図書情報館。
長田弘本を愛しなさい』(みすず書房


これ、以前に図書情報館に行ったときに、
海外文学の棚に差さっていて、あれ、と気になった一冊。
他の長田弘のエッセイは、国内作家のエッセイの並びにあったのに。
今日、改めて裏表紙の文章を見ると、内容が海外作家についての文章らしい。
あえて、この分類にしている、のか。やっぱり、変な気がする。僕が借りて、
返却するときに担当者が「あれ、これ、分類おかしくね?」と、
気づいてくれるんじゃないか、という試みでもある。
請求記号は、930.27。


急いで帰って髪を切りにまた出かける。借りてきた長田弘を部屋に置いて、
予約時間が迫っているのに持参本の選定にまたぐずぐず。借りたばかりの弘じゃ、
不満なのか。ていうか、美容院で読めないのに、なんで本を持ってでかけるのか。
美容院が早く終わったら、どこかで遅い昼食、いや、コーヒーと一冊をたくらんでいるのか。


さすがの小走り小男も、髪を切られている間は、どこにも急げない。
そこにじっとしていることを許されたなら、のんびりすることもできるんです。
信号待ちとか、あんがい好きなんです。他人にシャンプーされることの至福をかみしめて、
また、暖かくなってきたころに髪を切るタイミングが来た喜びもかみしめて。
短くなった後頭部に陽射しが温かい。期待通り、少し早く終わったので、
リトルマーメイドでパンとコーヒーと、一冊。


コーヒーのとも。
前野健太百年後』(スタンド・ブックス)


目次をじっくり追っていく。春夏秋冬の含まれる題が目立つ。
「詩のような」がボリュームたっぷりなので、
目次だけでかなり楽しめる。


そして、かすかな予感の通り、「片山令子『雪とケーキ』」、
キター!『冬の本』*1からの再録!
田中美穂さんのことを思い出す。たしか文庫*2の増補分で、
『冬の本』の文章が再録されたのではなかったか。


サンドイッチは右手で食べていたのだが、ガラケーをいじった後、
そら豆とタマゴベーコンロールは左手で食べはじめてしまったので、
テーブルに置いた『百年後』を眺めながら、パンを味わう。美味。
表紙の自販機に欲しい飲み物を探したり。微妙な自販機だね、これ。


パンを食べ終え、再び、本を開く。
扉の写真と服は一緒なのだが、表紙では目が見えない。
光の加減でサングラスの中が見えないだけなのか、
扉の写真では違う眼鏡にかけかえてるのか。
カバー・扉写真、ホンマタカシ・・・!


目次を読んで、特に終盤のことばの並びにこれはもう大好きな本になるに違いない、
こんな落ち着かないコーヒーのともにはぜいたく過ぎたな、と思いながらも、
読みはじめてしまった。「雪の花束」良かった。腕を組んだくだりで、
扉の写真を見にもどったり。


コーヒーのおかわりしたので、もう少し読む。
早く買い物して夕飯のしたくして歯医者に行かなきゃならないのに、
ぜんぶ、前野健太のせいにして、読む。「詩人になれなかった魚肉ソーセージ」、
これは、危険な文章だ。こんな文章も書くのか。はかりしれないぜ、健太。


スーパーで買い物して、袋に買ったものを詰めこみながら、あれも買わなかった、
これも買ってない、と気づく。あまり本屋さんでは、ない経験だ。
八百屋さんみたいな店で、にんじんとピーマンを買う。ピーマンは、
なぜかえのきとセットにされていたのでえのきも買った。これは、
本屋さんで例えると、どんな感じか。TV誌を買ったら、
夏目漱石『こころ』(岩波文庫*3がついてきた感じか。


夕飯準備のとも。
世田谷ピンポンズ『紅い花』(キャッチ&リリース)


なんとか、夕飯のしたくをととのえて、
急いで歯医者へ。今日は、ほんとうに駆け回っている。
歯医者から戻って、今度は保育園へお迎え。


飯を食わせ、風呂に入れ、寝かしつけてから、
ブログ記事をあげていく。かなり遅くなって、
妻が帰って来た。いくら雑誌が大量入荷しても、
こんなに遅くなることはない。遅くまで、
お疲れさまでした。