本に触れてみる、人に触れてみる

本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録


久しぶりに売店でパンを買える時間に駅着。
ホットペットボトルを足の間に挟んで、
暖を取りながら本を読む。


車中のとも。
辻山良雄『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』(苦楽堂)


ついに開店した!やはり胸躍るなぁ。
初めて買ってくれた人の「速度」が小気味いい。
最初のギャラリーイベント、『悲しみの秘義』*1だったのか。期間中もその後も、
すごく売れたとのこと。僕も、2冊めをTitle で買いました。なんかそういう磁場ができているのか。
そして記述にもあるとおり、僕も訊ねた「日常と憲法」の展示期間中、
たしかに電話で道案内してた、辻山さん。
同じ人から3回くらいかかってきてた。


雪が降っている、というバイトさんの話にビビりながら、
外へ出ればもう雪の姿はなく、ただ冷たい空気がしっかり、
僕を待ち受けていた。急ぎ足で駅までゆく。
辻山さんの本を読みながら、ふと気づくと、
電車が止まっている。人身事故か。
珍しく、東花園駅で放り出された。
よっぽど動く見込みがないのか。


駅周辺をぶらついたが、食事できそうな店が見つからない。
鶴橋まで戻ってのんびり飯でも食おうかと、大阪方面の各駅停車に乗りこむ。
車内は暖かい。しばらくして、この電車より先に発車する電車が来る、
というアナウンスが流れたので、そいつが来たら乗り換えよう、
となおも座って本を読んでいたら、慌てたような口調で、
奈良方面の電車も動き出す、というアナウンスがでた。
階段を駆け下りて、反対側のホームに止まっていた、
各駅停車らしき電車に飛び込む。


読了。
辻山良雄『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』(苦楽堂)

思うに、本屋に来て面白い本と出合うには、まず置いてある本に触れてみることです。(p.185)


辻山さんに教わったら、次々に面白い本と出合えそうな気がする。
本が売れない時代、辻山さんは、「本を読まない人に読んでもらうよりも、今、
読んでいる人に続けて読んでもらうにはどうすればよいかを考えたい」(p.200)という。
ぼくは、どうだろうか。こんなにはっきりと意識はしていないけれど、
ぼくがやっていることも結局、すでに読んでいる人向けなのだろうか。


いや、そんなたいしたことではないね。
誰にも向かっていない。強いて言えば、自分に向かっている。
独り言。未来の自分に向けた独り言。ただそれを、公開しているのは、
どういうわけなんだろう。誰かに向かっていきたい、誰かに応えてほしい、
そういう気持ちが少なからずある。ぎとぎとあふれかえっている。
かんばしい反応がなかったときのために、独り言を名乗り、
ふとんをかぶって母親が探しに来るのを待っている子ども。