キヨシの誕生日に

群像 2016年 10 月号 [雑誌]


またもや、思う電車には間に合わないが、
次の電車にはゆっくりな時間に家を出た。
この時間だと、途中2分乗換えダッシュが待っているが、
仕方あるまい。近鉄奈良売店で飲み物とパンを買う。


おひさまゆうびん舎さん*1から、
「今日は小山清さんのお誕生日」というメッセージをいただき、
嬉しい気持ちで文庫を取りいだす。


車中のとも。
小山清落穂拾い・犬の生活 (ちくま文庫)』(筑摩書房

十月四日は僕の誕生日である。僕はそのことをなにかの話のついでに彼女に告げたらしいのだが、彼女は覚えていて、その日ぶらりと彼女の店に立寄った僕に贈物をくれると云うのである。(p.81)


まさに、今日の、誕生日についての記述。でもこれ、
小説の中のことばだから、おひさまさんに聞いてなかったら、
「またまた『私小説』にだまされるとこだったぜ」って、
なっていたかもしれない。いや、その前に、
日付の一致に気づかなかったかもしれない。


日本のどこかで、たまたま今日、この小説を読んでいて、
「今日じゃん!」って息を飲んだ人がいたかもしれない。
うらやましい。ぼくは、「落穂拾い」を読んでしまった。


ようやく、田中美穂さんの『わたしの小さな古本屋』にあったエピソード*2からの、
素敵なわき道を訪ねることができた。これだけ時間をおいてから読んで良かったな、という気分。
なるべく田中さんのときの状況に近づけてみたい気持ち。
「落穂拾い」を読んだときの田中さんの気持ちを思う。


気になる新刊。
考える人 2016年 11 月号』(新潮社)


購入。
群像 2016年 10 月号 [雑誌]』(講談社


車中のとも。
小山清落穂拾い・犬の生活 (ちくま文庫)』(筑摩書房


「夕張の宿」唐突に終わった印象。これは良かった。
目次をよく見ると、「わが師への書」から「桜林」まで、
「落穂拾い」という連作(?)になっているようだ。
話題が間接的にあちこちリンクしてるのが、面白い。