熱帯低気圧と寄道処世術

書生の処世


台風なのに、いつもと同じ時間に家を出る。
途中電車が遅れていたら、もうおしまいだ。
傘を差さずにすむくらいの、ささやかな雨。
時間通りに店にたどり着いた。危なかった。


車中のとも。
荻原魚雷書生の処世』(本の雑誌社


「がんばる」という一語では足りない、ジタバタするありさまを教えてくれる。
「がんばれない」「がんばらない」「がんばりたくない」などなど、
「がんばる」頼みの低迷グラデーションからの脱出。
それは、いろいろなことばで、いろいろな角度から、
ダメな状況を因数分解することで実現するのかも。


「夢中になれるものが、何かひとつあれば、それが生きる希望になる」(p.187)


もう残ってないかと思っていたが、
まだ『火花』は何冊も残っていた。
そして追加の15冊が入ってきた。
帰る頃には、全部売れてしまった。


読了。
荻原魚雷書生の処世』(本の雑誌社

読書というのは不思議なもので、考えたり悩んだりしているときに、新刊書店や古本屋に行くと、そんなつもりで買ったわけではない本の中に、その答えが見つかることがよくある。(p.194)


コラム4「文筆生活二十五年」良かった。魚雷さんの仕事のテーマ、
「不遇や不調のときの処世術」だそうです。
しみる。


ほめてもらいたいだけ、ということばに、
ドキッとする。「世の中をなめんなよ」ということばを、
ぼくに届くように言ってくれるひとが、いないと言ってしまうと、
ほんとうに誰も言ってくれなくなりそうだから言えないけれど、
(これからもどうぞ言い続けてください、いつか気づくはず)
少なくともこの本を読めば、「世の中をなめんなよ」と、
言われて首をうなだれることができるだろう。


(でもうなだれてばかりだと、ムードが悪くなるぜ?)