詩人の語るスピードで

東京の台所


妻から頼まれた本を買う。
何にもまして、本は、読みたいと思ったときから、
間をおかず届けることが肝心。まぁ、どんなに急いでも、
「間に合わなかった」ということは、よくあるのだけれど。


購入。
大平一枝『東京の台所』(平凡社


気になる新刊。
南方熊楠柳田國男折口信夫宮本常一南方熊楠/柳田國男/折口信夫/宮本常一 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集14)』(河出書房新社
田中貴『サニーデイ・サービス 田中 貴 プロデュース ラーメン本 Ra: (学研ムック)』(学研マーケティング


車中のとも。
長田弘一人称で語る権利 (平凡社ライブラリー)』(平凡社


この本は表紙カバーを外して持ち歩かねば、とも思わず、
そのまま持って歩くことができた。平凡社ライブラリーなら、
どれでもそうなのかは分からないが、普通の文庫などと比べて、
何か、丈夫なような印象を受ける。そうして、電車の乗り換え時、
鞄に入れずにそのまま手に持ったまま、なんとなく、
周りの人に見せびらかす気分で、歩く。


長田弘の、いくつか読んだ本の中では、これは、
正直、それほどぐっとくるものではないようだけれども、
ところどころ、頬骨を強く圧迫されるような、
そのまま顔面を押しつぶされそうな、そんな、
何か、ちからを持った文章のようにも思う。

怪獣たちは、しばしば個々に変わった名をもっていますが、つまるところはただ一つの名をしか体現しません。すなわち、怪獣たちというのは、どんなときもたった一つ、「敵」という名だけをもつ怪獣なんです。怪獣については、それが「敵」だという以上のことは、まるでわからないんですね。正体はいつだってついに不明です。(p.129)


「11 ボブ・ディランのコンサート」まで読み進めてきて、
ようやく、この『一人称で語る権利』という本の、速度というか、
風の吹き方に慣れてきたようだ。あと、5編。