おやつの食べ過ぎで、ごはんが食べられなくなる問題

メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年


娘を保育園へ送っていく。
週に一度しか自転車に乗らないものだから、
むき出しの手に感じる季節は、急速に進行していく。
今日は、てぶくろをしていった。片方だけ。
ふたつそろったてぶくろを探さねば。


洗濯を終え、同行の書を物色する。
読みかけのヨウコさんは当然連れていくのであるが、
残りページが心もとない。カバーを外した『次の本へ』*1がある。
単行本は家で読む派であるものの、ぱらぱらしたら、
もう元の位置に戻せなくなってしまった。


駅へ行く途中、郵便局を目にして、思い出した。
今日は、ぐりとぐらの切手の発売日だ。
2シート買って、駅への階段を下りた。
改札口まできて、定期券を忘れたことに気づく。
家まで引き返す。


車中のとも。
平松洋子野蛮な読書 (集英社文庫)』(集英社文庫


「クリスティーネの眼差し」を読む。クリスティーネって、
あのクリスティーネだったのか。冷えたスイカ、故人の写真、
東京都写真美術館からロラン・バルトへ寄り道し、また戻り、
「怖ろしげなあの闇」、クリスティーネの文章、鴉。


そのときどきに、悩みや苦しみや悲しみはあったけれど、
我が人生は、まぁ、お気楽で幸福に満ちたものである、
そうではあるが、それはけっして、当たり前のことでなく、
おそらくは、わたしのすぐ近くにも、闇はあるのだ。


続いて、「雪国ではね。」を読んだ。しびれる。
この最後の方の文章たちは、骨太で、この本を読み始めたころと、
印象がまるで別人のようだ。三浦哲郎、気になる。


狩りの前に紀伊國屋書店グランフロント店に寄り道。
なんというか、横綱だなぁ、という感じ。この本もあり、
あの本もあり、こんな品ぞろえができる本屋さんがあるのなら、
相撲はあなたにお任せしますッ!と書店の未来を丸投げしたくなるが、
まあ、横綱ひとりいたって、ひとり相撲しかできないわけで、
ねずみはねずみで相撲の稽古。書店界隈をにぎわすべし。


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
今江祥智おいしい街と本と人』(幻戯書房
尾崎俊介ホールデンの肖像―ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』(新宿書房
谷川俊太郎正津勉悼む詩』(東洋出版)
ほしよりこ逢沢りく 上』(文藝春秋
ほしよりこ逢沢りく 下』(文藝春秋
石井桃子においのカゴ』(河出書房新社
しまおまほマイ・リトル・世田谷 (SPACE SHOWER BOOKs)』(スペースシャワーネットワーク
平松洋子本の花』(本の雑誌社


購入。紀伊國屋書店グランフロント大阪店。
三上延倉田英之読書狂の冒険は終わらない! (集英社新書)』(集英社


さて、いよいよのんびり狩り。のんびりホームページ*2で調べて、
「ここなら」と思った秋田県大阪事務所*3にて、
のんびり10号を無事にゲット。ありがたや、ありがたや。


目的を果たして、あとは気楽な休日さんぽ。
ここからすぐの「本おや」さんに寄って、
「編集者さんで古本市」を覗いてから、
久しぶりにカロにも足を伸ばそうか、
なぞと夢想しながら歩いていく。
まだ3度目であるが、
意外と道を覚えている。
ビルの入り口に、看板を発見。
そうそう、この1階のガラス戸の向こう、
ちょっと広いこのスペースがホッとするのよね。


お客は、ぼくひとり。
前に来たときは、けっこうにぎわっていたのだが、
今日は、ゆっくりと棚を眺めることができそうだ。
「編集者さんで古本市」と題して、15名の編集者さんが、
蔵書を放出、む、いきなり目に飛び込んできた「クリスティーネ」の文字。
『メモワール』小林紀晴が、古谷誠一の人生に迫った一冊。
なんというすてきなタイミング。手に取った本を、
ふたたび棚に戻す。こいつは、いただきだ。
だけども、もう少しここで、ねんねしてな。


一冊買える本を見つけると、その後の棚探索は、
ぐっと楽しくなる、気楽になる。余裕が出る。
参加者の名前とコメントの入った紙を見て、
質問内容が分からないや、と入り口に戻り、
フライヤーで確認する。


1.主な担当編集ジャンル
2.好きなジャンルor作家さん
3.何でもひとこと!


島田潤一郎氏の本たちがあった。
うわー、箱入りの本がある、なにこれ、
片岡義男じゃん、値段はやっぱり最終ページなのか、
箱入りだと、出すのに緊張するじゃんね、箱の外に、
つけてくれてもいいのにね、おいくらですか、
お、そうですか、ふーん、ふーん、で、
何ですかこの本は、短編集かしら、
収録作品は、と、ん?


「給料日」


こ、これは、たしか、『BOOK5』の片岡義男特集で、
話題になっていたあれじゃなかったですか?
島田さん?これ、ぼくのために、ここに?
ああ、ニコニコしている島田さんが、
見える気がする。ああ。


と、編集者さんたちの繰り出す本の群れに溺れ、
本おやさんの通常棚の本にも翻弄され、
お会計をお願いした際に、どんな流れだったか、
つっと始まったおしゃべりが止まらなくなり盛り上がり、
盛り上がった流れでなぜかまた2冊ほど追加で本を手に取り、
そうそう、ポストカードも買おうと思っていたのだったとレジに出し、


「おやつ」の食べ過ぎで、おなかいっぱいになったのでした。
けれども昼飯を食っていなかったので、おなかぺこぺこでした。


購入。本は人生のおやつです!!
小林紀晴メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年』(集英社
片岡義男片岡義男 31 STORIES(サーテイーワン・ストーリーズ)〈1〉』(晶文社
谷沢永一向井敏縦横無尽―読書巷談 とっておきの50冊 (1980年)』(日本経済新聞社
エーリッヒ・ケストナー、山口四郎『飛ぶ教室 (講談社文庫)』(講談社
ティーブ・モス、ジョン・M・ダニエル、浅倉久志極短小説 (新潮文庫)』(新潮社)


前に二度ほどお邪魔した時には、これほどまでにお話はできなかったのだが、
いやぁ、本と本屋さんの話、楽しかった。ありがとうございました。


というわけで、すっかり話し込んでしまい、(カロさんなんか行く余裕なし!)
やべぇ、お迎えに行く前に、最後のボリクコーヒーに行こうと思っていたのだ、
急げ急げ、とTLを見ると、さっきつぶやいた「ビッグイシュー」について、
モーリーさんから情報が寄せられているじゃないか!


いや、今回のビッグイシュー、古本特集らしくって、
欲しいな、と思ってたんだけど、ふだんの行動範囲では、
売ってる姿見たことないな、ここは梅田、梅田ならあるんじゃね?
と思ってTLに載せてみたら、ありがたや!ピンポイントで情報が、
「駅前の歩道橋の阪神百貨店側」ですと!・・・阪神?阪急?


うろうろしながらようやくたどり着いた阪神百貨店と歩道橋の合わさるエリア、
歩道橋を渡ったりおりたりするも、それらしきひとは見あたらない。
諦めて帰ろうとすると、横断歩道の手前に、怪しいキャリーバッグ。
あ、ビッグイシューのポスター貼ってある!しかし!
販売員の姿が、ねぇ。しばらく待ってみたが、
戻ってくる気配なし。。。帰るか。


帰りの電車で、『野蛮な読書』を読み終える。
解説は、嵐山光三郎。さっき紀伊國屋で見た、
『本の花』(本の雑誌社)も出てきた。
いやぁ、面白かったなぁ。しかしここに収められた文章、
ほんとに、同じ雑誌で「連載」されてた文章なんだろか。
味わいがいろいろで、なんというか、幕の内弁当?


読み終えて、長旅から帰って来たような、
疲れと、達成感と、旅立ちの日の記憶の「遠さ」を感じる。
あの、モスバーガーが、はるかかなたで輝いている。


結局、ボリクさん再訪は叶わなかった。
少し早目に娘を迎えに行った。

*1:次の本へ』(苦楽堂)

*2:のんびり:http://non-biri.net/

*3:北東北三県大阪合同事務所:http://www.1bld.com/office/15061/