春が来たのだ

決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様 (講談社文庫)


夜明け前に出勤。まだ雪道。ベシャベシャのところもあれば、
白い雪を踏んでいける場所もあった。雨は、こぶり。
傘を差さない人ともすれ違った。車窓からは、雪だるまをつくる人や、
白くなった屋根たちが見える。「太郎を眠らせ」の歌が思い浮かぶ。


職場のある駅に着くと、そこにはもう雪の気配はない。
小走りで店を目指すうちに、雪の記憶はどんどん溶けてなくなった。


店に着くと、いつも雑誌の台車の手前にある書籍の台車が、
ない。ちょっと異様で、変な夢を見ているかのようだった。
雪の影響で、書籍が入ってこなかったのだ。
雑誌も部分的にしか、入荷しなかった。


今もなお、雪がどかどかと降り積もっているところがあり、
そのせいで、荷物が届かなかったりしているにも関わらず、
「4月号」と書かれた雑誌を手にしながら僕は、春の到来を、
感知してしまった気がした。春が来たのだ。
雪にまぎれて、春が来たのだ。


車中のとも。
河合隼雄こころの読書教室 (新潮文庫)』(新潮社)


村上春樹アフターダーク*1を取り上げての解説。
面白い。ちょいちょい挟まる軽口が、気楽な読書を演出してくれる。
「次は『村上春樹河合隼雄と本を売りに行く』いうの書こうかなと思ってます(笑)」
という文章にあたって、反射的に「期待してまっせー」と思ってしまった。
先生は、もういないのに。

ある芸術家の方で、幻聴が聞こえる人がいました。幻聴というのは声が聞こえてくるわけですから、内界から声が聞こえるわけですね。そうすると、自分が芸術に関する仕事をしていても、声が聞こえだすとどうしても能率が上がらない。「あの声が聞こえなくなったら、どんなにいいだろう」と思って、来られたんです。私は、お話をずっと聞いていて、最後にどう言ったかというと、「声が聴こえなくするようにするのは大変ですよ。ものすごく大変ですよ。そんな大変なことをするぐらいやったら、声を聴きながらご自分の芸術の仕事をやられたらどうですか」と言ったんです。(p.95)


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
水木しげる決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様 (講談社文庫)』(講談社
角田光代ひそやかな花園 (講談社文庫)』(講談社
酒井順子金閣寺の燃やし方 (講談社文庫)』(講談社
穂村弘タカノ綾手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ) (小学館文庫)』(小学館
内田樹街場のマンガ論 (小学館文庫)』(小学館


『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』子どもの頃、
妖怪ずかんみたいのを持っていて、けっこう好きだった。
鬼太郎のキャラの絵に挑戦したけれど、
目玉おやじしか、描けなかったなぁ。