カフェの思い出、冬の集い

冬の本


今日は、なんかお休みをいただいている。
明日も、休みだ。連休とか、めったにないので、
ちょっとどうしてよいか分からない朝だ。
ツイッター上で雑誌の入荷状況を見て、
後ろめたい気持ちになったりもして。


今夜は、ツイッターでやりとりをしている、
書店員さんたち(元・現役混合)と食事がある。
これまでずっと職場の人たちとは仕事の話をする時間が
持てないことが多かったのでとても楽しみだ。


ゆっくり寝てしまったので、洗濯、洗い物を終えると、
もうけっこうな時間になっているが、まだ、明日も休みだ、
と思えば、おおらかな気持ちでいられる。でたらめな時間に、
食べたり飲んだりしながら、年賀状ならぬ「引っ越しのお知らせ」ハガキを、
年賀状をいただいた方に書いたりして過ごす。


夕方になって、まだ若干日が残っているくらいに出かけた。
郵便局で切手を買おうとしたら、わずかに営業時間が終わっていた。
ボリクコーヒーに行く。何度か入ったことはあったが、席についたのは初めてだ。
いつもは雑貨コーナーや展示を冷やかしていたのだ。


カウンターの席、奥から2番目に座る。ちょっと迷ったけど、
荷物や上着を一番奥のイスに置かせてもらう。コーヒーを頼む。
ポケットに入れてきた、『冬の本』*1を取り出して、読む。
カフェ・オーディネールのことが頭をよぎる。誰かに手紙を書きたくなる。
なんとなく、オーディネールにいたときの気持ちに似ている、と思う。


入り口の方を振り返ると、ショップのなかに建っている小屋がよく見える。
他のお客さんたちの話し声は意味を伴わない騒音として、後ろの方に聞えている
音楽も流していた。大きなスピーカー。オーディネールは、何か、
ジャズを流していたんじゃなかったっけ。僕はめっきり音楽に疎いので、
流れているのが「音楽」とか「ジャズ」とか程度にしか判別できないから、
特にそのことが良かったり悪かったりはしない。ただの感傷。


ポストカードの持ち合わせもなかったので、『冬の本』を、
でたらめに開いては読んでいく。見開きでひとりの人の文章が終わるので、
すっと読める。読んでは、何か、とりとめもない考えごとをしたりする。
ふと思いついて、執筆者の名前の、あ行とかか行とかが何人か数えてみた。
『冬の本』は、84人の人が文章を寄せていて、あいうえお順に載っている。


あ行:23人
か行:12人
さ行:8人
た行:9人
な行:4人
は行:12人
ま行:7人
や行:9人
ら行:0人
わ行:0人


圧倒的に、あ行が多い。ら行とわ行は、いなかった。
わ行なら、ワタナベさん、という苗字が浮かんだけれど、
ら行は、ぱっと思いつかなかった。


途中から、コーヒーに角砂糖とミルクを投入。
角砂糖が溶けるとき、泡がおこって、面白い。
そういえば、オーディネールではきまってロイヤルミルクティーを頼んでいた。
しかも、砂糖をざくざく入れて、めちゃくちゃ甘くして飲んでいた。
スプーンで入れる形式だったのだ。メニューを見てみると、
ボリクさんにも、ロイヤルミルクティーを置いている。
迷わずコーヒーを頼んでしまったことが、
残念なような、喜ばしいような。


『冬の本』が、いい。いろんな人の文章が、ピシピシくる。
前にはそうでもなかった文章が、ぐっと刺さってきたり、
逆に「すごくいい!」と思っていた文章が、それほどでもなかったり。
杉江由次さんの「誕生」は、変わらず沁みるいい文章だった。
宇田智子さんの文章もあった。前に読んだときよりも、
「あ!ウララの人だ!」というミーハー心が騒ぐ。


他の書き手の人にも、この先、まだまだ可能性が眠っているな、と思った。
なんていうの、そのときどきの、ボクの関心によって、輝きが増すだろうな、という。
天野祐吉さんの文章も、良かった。去年、亡くなってしまった。
あたりまえだけれど、『冬の本』の書き手の人たちも、
やがては全員、この世をおさらばしてしまう。
その頃までには、ボクもこの世をおさらばしているんだろうか。


お会計のときに聞いてみたら、まだ『のんびり』が残っていて、ちょうだいする。
待ち合わせの時間までまだ少しあったが、すっかり暗くなった路地へ飛び出す。
今日も智林堂さんはやっていない。フジケイ堂もちいどの店の階段をのぼる。
見るともなしにみていたら、なんとなく気になる本があって買ってしまう。


購入。フジケイ堂もちいどの店。
牧羊子金子光晴と森三千代 (中公文庫)』(中央公論社
掛尾良夫『『ぴあ』の時代 (小学館文庫)』(小学館


ちょうど時間となりまして、待ち合わせのお店に向かう。
お三方はお知り合いのようだったが、こちらは初参戦、
聞く話、聞く話、知らないことばかりでとても楽しい。
こんなに楽しくお話しているのに、それぞれの読む本や、
好む本屋さんの様子は、微妙に違っているんだろうなぁ。


それでもお三方そろってオススメの長谷川書店さん*2には、
ぜひ、足を運ばねばなるまい。すべからくさんにもオススメされてた気がする。
というか、『本屋図鑑』のイベントのときに、ご挨拶させていただいた気がする。
・・・不義理。そうか、島本店が閉店するときに、すごく気になっていたのだが、
行けなかったのだ。足を運ばねばなるまい。


とても楽しくおしゃべりしていたら、あっという間に時間が経っていた。
ご近所のNさんと歩きながら、最後の力を振り絞ってしゃべっていた。
帰宅して、ふとんを敷くのももどかしく、ばったり倒れてしまった。


持ち帰った箸袋には、こう書かれてあった。

砂場/そばや ウィ東城店(広島)
よつばと


またの機会を楽しみにしております。