この本は、かつて存在したはずの
家計簿・年賀状ソフトの襲来に、
バックヤードが地獄の様相を呈してきた。
『In RED』の山が崩れた。死人は出なかった。
救世主は現れるのか。クリスマスを待つしかないのか。
クリスマスになっても、やってくるのはレジ応援を呼ぶブザーだけ。
車中のとも。
角田光代『私たちには物語がある (小学館文庫)』(小学館)
本屋の通路を歩くと、私だけに呼びかけるささやかな声をいくつか聞くことができる。私はそれに忠実に本を抜き取る。(p.26)
冒頭の、「交際履歴」を読む。
妙に鮮明な既読感。図書館で親本借りたのは、
けれどだいぶ前のはずなんだが、と思って、
初出一覧を見たら、『さがしもの』(新潮文庫)*1とある。
それなら、こないだ読んだ。
どうりで鮮明なわけだ。
でもさ、「交際履歴」は、『さがしもの』の親本、
『この本が、世界に存在することに』*2の、
あとがきエッセイとして収録されているわけだから、
初出は、こっちでないのかい?しかも「交際履歴」の中に、
「もしこの本が世界に存在しなかったら」という記述も出てくるのだ。
光代?(←久しぶりに呼び捨てにしてみた)
なんというか、『この本が、世界に存在することに』という本が、
『消えた2ページ』*3みたいに、存在しなかったことになってるような、
そんなホラーを感じている。
気になる絶版。
関川夏央『汽車旅放浪記』(新潮社)
関川夏央『汽車旅放浪記 (新潮文庫)』(新潮社)
単行本は仕方ないとしても、文庫なんて、
まだ4年しか経ってないのに?