とり、ミシマ社の本屋さんにゆく


今日は、とうとう、ミシマ社の本屋さんに行ける。
事前に久津川駅からのみちのりを調べておかなかったので、
行きしの車内でのケータイ検索に苦労した。
(もらってきた「紙の月刊城陽」に載ってた地図は、
わかりやすかった。あれが携帯で見られたならいいのに。)


久津川駅で降りて、改札外にあった地図で、
だいたいの方角を確認、見当をつけたら、
駅前の本屋さんに飛び込んで、調子を整える。よし。
思ったよりも交通量の多い道のはしっこを歩きながら、
携帯画面と先のほうの建物を見比べながら歩く。


久津川の交差点を過ぎて、セブンイレブンを発見。
ここを右折した通り沿いにあるんじゃないか、
と、まだ半信半疑。ちょっと海外旅行気分。(大袈裟)
すると、まったく予想外のタイミングで、
駐車場の向こうに看板を発見した。


「ミシマ社の本屋さん
 売ります、貸します、ほっこりしましょ。」


うわー、ふつうのおうちだ!
不自然な看板がついている!


モデルルーム、いや、見知らぬヒトの家に、
不法侵入するような気分で、開け放たれたドアから入っていく。
そこは玄関。ふつうのおうちの玄関。靴が脱いである!!


入り口すぐに設置されているフリーペーパーでも眺めてお茶を濁そうと思うや否や、
女性スタッフが登場、「どうぞ、お入りください〜」といざなわれる。
靴を脱ぐ。小学生のときに初めて一戸建てのともだちの家に遊びに来た気分。
団地育ちの短足男にとっては、ハードルの高いあがりかまちでござる。


すぐ右手の和室に通される。先客あり。
男性ふたりが座っているが、お客さんなのか、
スタッフさんなのかすぐには判然としない。
本がたくさん並んでいるようではあるが、
なぜか緊張して周りがよく見えてこない。


入って正面の壁に設置された本棚には、
貸本コーナーがある。部屋の中央に置かれたテーブルに、
本が並べてある、という風に、少しずつ部屋の様子が、
頭に入ってくる。「お荷物置いて、ゆっくりしてください」
と声を掛けられて、荷物を置いてみるが、なかなかに難しい。


どうやってそこにいたらいいのかわからず、
窒息しそうになっているのに気づいてくれたのか、
先の女性スタッフがいろいろと話を振ってくれて、
お話をしているうちにようやく目が見えてくる。


迷い込んできたアブを窓から逃がしたりするうちに、
夏葉社さんの本があり、三沢光晴のメッセージがあり、
隣りの部屋にもスタッフさんがいることがわかり、
少しずつ緊張がほどけてくる。


そこへ見覚えのある男性が入ってきた。
スタッフのひとりだろう。もともといた男性のひとりに、
挨拶している。「あ、こちらがミシマです」と紹介される。
あ!そうか!ミシマさん本人がいる可能性をちっとも考えておらず、
仰天してしまった。そうなんだー、こちらにいたんだー、
よかった、よかった。と嬉しい気持ちになりました。


このあと、凱風館に稽古にいくというミシマさん。
な、なんと羨ましいことよ。内田樹センセイのところで、
合気道ですかー。いいなー、参加してみたいなー。
ほどなくして、ミシマさんはどこかへ行ってしまった。


『THE BOOKS』を見せてもらったりしながら、
本と本屋さんの話をしていると雷鳴がとどろく。
それを潮に、買い物を済ませて帰ろう、と動く。
2時間近くおしゃべりしていた。楽しかった。


購入。ミシマ社の本屋さん。
ミシマ社編『THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」』(ミシマ社)
内田樹街場の文体論』(ミシマ社)


借りた。ミシマ社の本屋さん。
『はじめまして、かがわのアトリエ。15の制作現場』(香川県文化振興課)


はじめに部屋にいた男性のうちのひとりは、
営業のクボタさんという方でした。笑顔がすてき。
買った本に、ミシマ社製カバーをしてくれました。
普段はブックカバーをつける立場なので、なんとなく、
自分の仕事をヒトにやらせている気分で落ち着かない。


結局、帰る前に、ざーっと雨が降ってきてしまい、
傘をお借りして帰ることに。ミシマさんもおりてきて、
お見送りしていただきました。ほんとに、
誰かのお家を訪問したような気分だ。


また来ます!
本と、傘を返しに来ます!


帰りの電車で、いただいてきたフリーペーパーを読む。
寺子屋ミシマ社・編集編が、思ってた以上に面白そうだ。*1
しかし近鉄京都線の車窓の風景は、なごむなぁ。
緑の陰に潜む秋の気配。8月がほどけてゆくよ。


読了。
須賀敦子コルシア書店の仲間たち (文春文庫)』(文藝春秋

私にはこれが、ルチアだけでなく、書店の仲間みんなが、晩い青春の日に没頭した愉しい「ごっこ」の終りだったように思えてならない。(p.225)


ぼくの「ごっこ」は、まだ始まってもいない。

*1:寺子屋ミシマ社 編集編 光嶋裕介さんと:http://blog.mishimasha.com/?day=20120802