飛ぶ教室、泣くおっさん
母と妻が何か話しているのは、向こうのシート。
僕は、眠る娘を乗せたベビーカーを前に、
本を読む。ふと気づくと、妻がそばにいた。
駅だ。慌てて本をしまって、ホームに出る。
読了。
ケストナー、丘沢静也『飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)』(光文社)
正義さんは窓のところに行って、窓ガラスごしに外を見た。そして顔をそむけたまま言った。「どうして私にたずねてくれなかったのかな? あんまり信頼されてないのかな?」。こちらに顔を向けた。「だったら私自身、罰せられるべきだ。きみたちの違反には私も責任があるわけだから」(p.97)
一泊二日の東京旅を終えて奈良に戻り、
くたびれて眠る妻子をよそに、ダイニングで、
泣きながら文庫を読みおえた。明日から6連勤だ。