第2ホッパー係補佐

アメリカの消失: ハイウエイよ、再び


もうひとり新人さんが登場した。
ダブル初々しい。ダブルになると、
懐かしがってる余裕は無く、
フォローが大変。


とか言いつつ、自分もおつり渡し忘れて、
はだしでかけてく愉快な新人さん(30代、妻子あり)。
自分のことで、精一杯ですな。精進せよ、わたし。


読了。
又吉直樹第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)』(幻冬舎


巻末には中村文則との対談を収録。
恥ずかしながら、中村文則、名前も存じませんでした。
又吉さんは、中村文則が好きなようで、
本文でも2冊紹介している。気になる。


又吉さんは中村文則の話を聞きたがるが、
繰り返し「僕の話はいいですよ(笑)」とかわして、
ひたすら又吉くんの話を引き出す中村文則
その又吉くんの読書人生、なかなかに興味深い。


作家の名前を覚えることに反感を持っていた(?)のに、
羅生門」「トロッコ」という面白かった作品を、
芥川龍之介というひとりの作家が書いたことを知り、
「作家の名前を覚えてその人の作品を読んでいけばいいんや」
という発見にいたり、「国語便覧」を駆使してブンガクの海へ
漕ぎ出していく、という。便覧て、実はすごいよね。

又吉 太宰をひととおり読んだあとは、尾崎紅葉にいって。
中村 またすごいところへ。
又吉 便覧を信用していたので。
中村 すごい。便覧あってよかった。
又吉 はい(笑)。
(p.222)


本書に登場して、気になった本。
関口良雄昔日の客』(夏葉社)
近藤篤サッカーという名の神様 (生活人新書)』(日本放送出版協会
中村文則何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)』(集英社
野坂昭如エロ事師たち (新潮文庫)』(新潮社)
ねじめ正一高円寺純情商店街 (新潮文庫)』(新潮社)
江戸川乱歩江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)』(新潮社)
宮本輝螢川・泥の河 (新潮文庫)』(新潮社)
村上龍新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)』(講談社
中村文則銃 (新潮文庫)』(新潮社)
大槻ケンヂリンダリンダラバーソール (新潮文庫)』(新潮社)


『何もかも憂鬱な夜に』紹介されていたのは単行本だが、
もうすぐ文庫出るっぽいですな。いいタイミング!
『エロ事師』、ずっと「エロジシ」って読んでいたが、
もしかして、「エロゴトシ」って読むのか?


江戸川乱歩傑作選』、オカタケ師匠の本によれば、
カバーが三種ある。*1又吉さんの紹介しているのは、現行の、
西島千春によるデザインのトンネルみたいなやつ。
オカタケさんのブログには、実際は三種類だけでなく、
ほかにもバージョンがあるというお便りが来たと紹介されていた。
okatakeの日記:http://d.hatena.ne.jp/okatake/20120112


そうそう、『第2図書係補佐』では、各文章のはじまりに、
書影が載っているのが素晴らしい。しかも、正面でなく、
背表紙も写るようにしているのがまた、心憎い。
文庫とか、絶版になっている古い版の写真だったり、
「現在はカバーも替わって税込み380円」とか注があったり、
なかなかに古本ゴコロを刺激してくるのであります。


気になる新刊。
宮脇俊文『アメリカの消失: ハイウエイよ、再び』(水曜社)


表紙にエドワード・ホッパー
ハードカバーでホッパーの装画は魅惑的で困る。
しかもこの本、「ハイウェイ」をキーワードに、
アメリカ文学とかを論じるアメリカ文化論だって。
学生時代なら、思わず履修してしまいそうです。

ソロー、フィッツジェラルドサリンジャー、ホッパー、オキーフスプリングスティーンイーグルス……小説の数行、絵の断片、一フレーズの曲。一見バラバラに存在しているかに見えるものがアメリカの過去、現在、未来を紡ぎ出す。


水曜社:http://www.bookdom.net/suiyosha/1300shakai/1345america.html


著者の宮脇俊文は、日本スコット・フィッツジェラルド協会会長。
日本スコット・フィッツジェラルド協会*2って。。。


ちなみに、あたしの好きなホッパー表紙のハードカバーは、
こちら。うー、また読みたくなってしまう。


長田弘アメリカの61の風景』(みすず書房