太宰さんとの再会

三鷹に東京タンバリンのお芝居『華燭』を観にいく。*1
太宰治作品をモチーフにした演劇 第5回 太宰治中期〜後期作品より」
ということで、太宰作品を彷彿させるシーン満載。
久しく読んでいないのがかえってよかったのか、
懐かしくもどきどきする舞台であった。
太宰のことを、いろいろ考えた。


人を信じたくて、信じられなかった人なんだろうな。
いや、このお芝居が必ずしも太宰の人となりを伝えてるかは、
わからないが。というか、そんなものは狙ってないか。
でも、なんか、太宰のことを久しぶりに考えた。


もうひとつ、面白かったのは、太宰治の小説には、
わりと「太宰自身」がモデルっぽい登場人物が出てきて、
それ以外の人は、きっと、周りにいる「別人」がモデルなんだろうが、
それを描写する文章は「太宰の声」で語られている。
だから、どの登場人物も「太宰のにおい」を身にまとっている。


舞台上では、登場人物たちはそれぞれ固有の、
俳優の身体をもって、そこに立っている。
彼らからも「太宰のにおい」は漂うのだろうか。
そんなことを考えて面白かった。


舞台装置も凝っていて、最初それが動いたとき、
うわー!すげー!って思った。
能みたいな和風の足運びも、好み。


この夏は、太宰治、読み返してみるか。


劇場に行く前に、古書上々堂に寄った。*2
『桟橋で読書する女』が棚に差さっていた。*3
なんだっけ、これ。なんだっけ、これ。
岡崎武志の本で紹介されてた本だっけ?*4


手にとって、ぱらぱらすると、岡崎さんのスリップが。
ああ、そういうことか!岡崎武志堂の商品でしたか。
あらすじなどを見て、開演時間は迫り、結局、
何も買わずに店を出た。

*1:東京タンバリン:http://tanbarin.sunnyday.jp/index.html

*2:古書上々堂http://shanshando.exblog.jp/

*3:マーサ・グライムズ、秋津知子『桟橋で読書する女 (文春文庫)』(文藝春秋

*4:家に帰って必死に調べて、やっと見つけた。『読書の腕前 (光文社新書)』のまえがき。