混線無敵界隈

指輪をはめたい (文春文庫)


読了。
伊藤たかみ指輪をはめたい (文春文庫)』(文藝春秋
松尾たいこの表紙イラスト、すてき。


小説を話すのってむつかしいね。
ネタバレになっちゃうからね。
終わっちゃったあとの物語のつづきが、
気になる。それは、その小説の好き嫌いを、
左右するかしら。どうかしら。


続きを読みたい!と言ってすぐ思い出すのは、
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。
ありゃ、好きだわよ。
村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)』(新潮社)
村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)』(新潮社)


で、『指輪をはめたい』だ。
読んでて、どんどん先へ連れて行かれて、
でもなんかありきたりなモノローグ聞いてる気にもなって、
そしてふいに終わっちゃった。ここは、どこだ?


ぼくの日常だ。


結局、日常に帰ってきてしまうことがさびしくて、
小説を"節約"してきたのが、ぼくの二十代だったように思う。
そうしていま、小説に復讐されているんだろうか。

次に目が覚めたのは、台所から、蒸気の音が聞こえたからだった。誰かがやかんを火にかけているらしい。絵美里がそこにいるのだと思ってしまった。しかも今日は土曜日で大学の講義もなく、なかなか起き出さない僕を待てずに、彼女がカップラーメンを作ろうとでもしているのだろうと。わざと、湯を注いだタイミングを見計らって起き出し、せっかく昼は一緒に外食しようかと思ってたのに、などと、意地悪なことを言って笑おうかと考えていた。(p.163)


眠りから覚めたときに、誰かがそばにいる幸福。
カンチガイも、気づくまでは、無敵。