メキシコの地獄、日本のアリ

アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)


明け方も、乳児が泣いていた。
役立たずは、ちらっと意識を取り戻してはすぐに眠った。
朝が来て、起き上がらなければいけない時間には、
みんな、眠っていた。いつも以上に緊張して、
そっと支度して家を出た。


送品表を見ると、幼年ムックが、
やたらと並んでいる。どうしてこんなに、
やたらめったら刊行するのだろう。多社が競うのもアレだが、
ひとつの会社でどんどん出すのもアレだ。新刊が既刊を追いやることについて、
どう考えているのだろう。売り場に並んでいる期間が短くなっても、
どうもないのだろうか。


車中のとも。
フアン・ルルフォ杉山晃増田義郎ペドロ・パラモ (岩波文庫)』(岩波書店

「わたしは地獄しか信じないわ」(p.183)


店に着いて雑誌の束をおろしながら、
おともだちゴールドもあることを知る。もう一面か!


楽しく雑誌と戯れたあと、珍しく昼休みに本を読む。
解説も、読んでよかった。ゆっくり読んできたけれど、
最後、少し急ぎすぎてしまったのか、分かっていなかった部分も多そう。
再読が楽しみだ。こういう読みごたえだということを、当たり前だけど、
読む前にはぜんぜん予想できていなくて、それなのに興味をもって、
運よく、Title さんで気持ちよく出会えて、読んで面白くって。
なんだかとても、ラッキー。外国のお話を面白がれる、
というのも、なんか、ありがたいことだと思うよ。


読了。
フアン・ルルフォ杉山晃増田義郎ペドロ・パラモ (岩波文庫)』(岩波書店


退勤して外に出ると、少し涼しい。
雨が降って、気温が下がったみたい。
なぜか少しずるをしたような気分で駅へ急ぐ。
乗換え検索をして、なんとか19時前に奈良に帰れそうだと、
妻にメール。アリの知らせ。


車中のとも。
柴田元幸アメリカ文学のレッスン (講談社現代新書)』(講談社


柴田訳のハックルベリー、抄訳でないのが読みたい。
オースター出てきた。まだ読んでいないのも、すでに読んだ奴も、
まとめて次々とオースターを読みたい気持ちがかすかに生まれた。
レイモンド・カーヴァーの「ささやかだけれど、役に立つこと」も読みたい。


駅を出たところで、乳幼児を受け取って、妻を美容院へ送り出す。
帰宅して、噂のアリと格闘。乳児からも「ぶー」という声でアリの位置を教わる。
三人で、アリと戦ったりごはんを食べたりしているうちに髪を短くして妻帰宅。


皿を洗いながら、世田谷ピンポンズを聞く。
「自転車を漕いだ秋」、いいなぁ。感傷のかゆみを、
かきむしるような歌声とギター。