京都で本屋ドライブ

珈琲のことば


目覚めた妻が、「洗濯、回さなきゃ」と言った。
「昨日、やった」と答えた。今日はもう、これでよし。


レンタカーで京都へ。途中、有料道路を見失ったりしつつ、
無事に岡崎公園駐車場に到着。妻と交代で京都岡崎蔦屋書店*1を見る。
今日は、コンディションが良かったのか、ベビーカーをまわしたり、
子どもの相手をしたりしながらも、気になる本が目にとまった。
わずかながらもひとりで回る時間ももらえたし。


代官山の店を思い出す。あと、松丸本舗
慣れたら楽しめる。あとは、やっぱ、滞在時の、
コンディションだな。同伴者の有無、許された時間の多寡、
感傷の濃淡、体調、天気、空腹具合、恋の行方などなど。


購入。京都岡崎蔦屋書店。
箕輪邦雄『珈琲のことば』(平凡社


気になった本。
ケラリーノ・サンドロヴィッチグッドバイ』(白水社
扇田昭彦こんな舞台を観てきた: 扇田昭彦の日本現代演劇五十年』(河出書房新社
今江祥智おいしい街と本と人』(幻戯書房


『グッドバイ』は、演劇本でなく、文芸書の並びにあった。公演、観たかった。
扇田さんの本は、出ていたことを知らなかった。見たことがある公演の、
いくつかを拾い読み。「ゴドー待ち」の刑務所公演とか、興味深かった。
京都で買うなら、ってんで今江さんの本はかなりグッと来たのだが、
初めて現物に出会えたことを祝って、珈琲の方を買いました。
思ってた以上に、「文字の版画」も味わい深かった。


子どもたちを公園に連れだしてくれていた妻と、交代。
やたらすべりのよい滑り台をすべらせたり、ブランコ押したり、
日の当たらない角度にベビーカーを動かしたり。
妻と合流して、徒歩で誠光社に向かう。


熊野寮あたりまで来たところで、妻が4人歩きの無謀さに気づき、
ひとり車を取りに岡崎公園に引き返す指令がくだる。ごもっとも。
河原町あたりで合流。先に昼食。食後、赤子を連れてひとり先発隊。
誠光社の場所はすぐにわかった。自転車がたくさんあり、中を見れば、
お客さんもたくさんいて、だっこひも装着の身では、奥に進めない。


入り口すぐの面陳棚を見ながら、通れる隙ができるのを待つ。できた。
奥へ、奥へ。奥へ行けるなら、行けるうちに奥へ。一番奥へ。
一番奥には、目当ての展示、赤井稚佳「いい本、ほしい本」。
実物の本も同時に展示してあったが、なぜだろう、
赤井さんの描いた本の方が魅力的な気がする。
洋書だと、読めないから、というのもあるか。


購入。誠光社。
赤井稚佳『Bookworm House & Other Assorted Book Illustrations』(恵文社一乗寺店


妻子もすぐにやってきて、店内をひと通り眺めて、
店を出る。いくつかの文芸書の群れに興味を引かれた。
堀部さんから、「こんなのもあるよ」と示された気分。
僕にはちょっと高級すぎる気もした。近所に住んで、
通いながら学んでいくのがベストな付き合い方だろう。


気になった本。
ながさわたかひろ『に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦』(編集室屋上)


続いて、ホホホ座*2に向かう。一方通行などもあって、
少し苦戦したが、なんとか到着。1台だけの駐車場も空いていた。
娘にねだられてサザエさん絵本などを小声で読んであげつつ、
隙をみて店内を回る。気になっていた本があちらこちら。
ミロコマチコさんのクリアファイルも欲しかった。


購入。ホホホ座。
山下賢二、三島宏之『ガケ書房の頃』(夏葉社)
山下賢二『シティボーイは田舎モノの合言葉』(のほほん製作所)


気になった本。
田口史人『二〇一二』(円盤)*3
長田弘酒井駒子小さな本の大きな世界』(クレヨンハウス)


『二〇一二』、表紙カバーにタイトルがくりぬかれていて、
そのさきに文章が見える。カバーを外すと、表紙から、
文章が始まっているようだ。買ってしまおうかとも思ったが、
次の恵文社一乗寺店*4でも買い物をしたいので我慢。
アオツキ書房*5に期待。『小さな本の大きな世界』も、
高額なので先送り。ちゃんと後日、手に入れたいが、
初対面の勢いを借りないと厳しい金額ではあるな。


ガケ書房の頃』、特典はもう終了していた。
昨日のツイートでは残りわずか、と言っていたが、
まだ間に合うと思っていた。レジの女性が、
「近くなら善行堂さん*6ならもしかしたら」
と教えてくれた。気になりつつも、
車は白川通りを北上する。


ガケ書房跡はこのあたりか、という建物に、
一瞬、視線を飛ばして走りすぎる。車からの景色は、
当たり前だが、歩道から見るのと全然違う。
スピードも角度も、全然違う。


堀部さんのいなくなった恵文社一乗寺店に、
初めて来た。どうなっている、という予想もなにもしていなかったが、
ぼんやり思っていた以上に、変わらない様子に、大いに安堵の深呼吸。
入ってすぐの新刊台、窓際の文芸書・人文書新刊コーナー、絵本コーナー、
日本文学の棚、「本の本」の棚、海外文学の棚、リトルプレスコーナー、
編集グループ〈SURE〉のテーブル、マンガの棚。「これが平積みかッ!」
「この本に会いたかった!」「こんな本、出てたのですかッ!」などなど、
うっかりすると大きな独り言をつぶやきつつうろうろしてしまいそうな。
堀部さんの抜けた「穴」もあるのだろうけれど、人も棚も含めていろいろ、
きちんと次の世代にバトンタッチされているんだろうな、末永く、
お客さんを楽しませてくれる店として繁栄してほしい。
アンフェールで娘に何枚かポストカードを買った。


購入。恵文社一乗寺店
飛ぶ教室45号(2016年春) (【特集】今江祥智)』(光村図書出版
『古本屋がえらぶ気ままにオールタイムベストテン』(恵文社一乗寺店


帰り、少し妻に運転を替わってもらって、
後部座席で乳児の相手をしながらうたた寝