苦くて美味い短編小説たちを

海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録


休み明け二日目。
今朝は送品表があるけれど、
月末のオアシス、少なめで助かる。
すぐに文庫を取り出して、物語の中へ。


車中のとも。
北村薫空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』(東京創元社


昨日、いいところでやめたので、
すっとお話に引き込まれる。
そして終わる。


人が死んだりしなくても、
なにがしかの苦味を舌の上に残して、
さっと終わる。短編。砂糖合戦。
ここでとめてもいいのだけれど、
次に読むときへの誘い水として、
「胡桃の中の鳥」へと向かう。

四つの幼女が鰐に河に引き込まれて生きて帰れなかったのだという。(p.143)


昨日の夕方に発注した『海の本屋のはなし』が、
午前中に届いた。こういうこともあるのか、と胸をうたれる。
さっそく1冊配架する。だれか、気づいてくれるかな。
1冊は、すみません、あたしが買って帰ります。


気になる新刊。
誉田哲也武士道ジェネレーション』(文藝春秋
野島智司『マイマイ計画ブック かたつむり生活入門 (ele-king books)』(Pヴァイン


購入。
平野義昌『海の本屋のはなし―海文堂書店の記憶と記録』(苦楽堂)
サンデー毎日 2015年 8/9 号 [雑誌]』(毎日新聞社


サンデー毎日』には、平松洋子さんの書評が載ってるとな。
ミシマ社の、『女、今日も仕事する』*1の。
『海の本屋のはなし』も、この号じゃなかったか。
サン毎買うのって、書評目当てばっかりだな。


帰りも、『空飛ぶ馬』を読む。
「胡桃の中の鳥」には、山を歩くシーンもある。
父親との山行を思い出す。山の上からの眺望の素晴らしさを、
もう一度、味わいたい、と思ったのか、あの頃の、
父との旅を再び、と無理を願っているのか。


「胡桃の中の鳥」を読み終えて、
やはり苦味を舌の上で転がしながら、
家までの道を歩く。もう誘い水がなくとも、
どんどん読めるだろうな、と思う。

*1:大瀧純子『女、今日も仕事する』(ミシマ社)