転がる中学生にもヒゲは生える

何のために「学ぶ」のか:〈中学生からの大学講義〉1 (ちくまプリマー新書)


頼まれていた封書を鞄に入れたまま数日。
女子大前のポストが目に入って突然、
思いだした。まだ暗いので、鞄を探っても、
目当ての封書が見つからない。ああ。


なんとかポストに投函して、
小走りの強度を増す。


間に合った。


車中のとも。
苦楽堂『次の本へ』(苦楽堂)

とはいえ、ここで書くのは、忍者の話である。(p.258)
速水健朗「中学生のころに読んでいた作家を大人になって再び読む」


この一文、どこかで読んだことがあるような、
まぁ、よくあるスカしなのかもしれないけれど、
なんかこう、きゅっと引き込まれちゃったのだ。
『バンド臨終図鑑』*1気になる。


『冬の本』*2のように見開きで全員統一、とまではいかないものの、
2、3ページ程度の短い文章がずらりと並んだ『次の本へ』、
次々に繰り出されるさまざまな文体、紹介本、人名は、
著者紹介や紹介本の解説、ページレイアウトの「定型」で、
独特のリズムでもってこちらに届いてくる。心が踊る。


雑誌入荷少な目でほんのりとした余裕。
けれども体調不良でお休みのTELを受け、
にわかに立ち込める暗雲。けれどもその雲は、
お客さんが少ない、という別の豪雨を降らせて、
いつもより早く退勤できるという収穫。


代償は、今日の売上。


購入。
松村雄策ウィズ・ザ・ビートルズ (小学館文庫)』(小学館
外山滋比古前田英樹、今福龍太、茂木健一郎本川達雄小林康夫鷲田清一桐光学園ちくまプリマー新書編集部『何のために「学ぶ」のか:〈中学生からの大学講義〉1 (ちくまプリマー新書)』(筑摩書房


買うか迷って、『何のために「学ぶ」のか』をぱらぱらしていて、
小林康夫「学ぶことの根拠」の冒頭を読んでいたら、
自分が学校に通っていたころの気分がよみがえってきた。


小学生、中学生、高校生、このあたりの読書は、
なんというか、マジメというか謙虚というか、
そういう、しんとした気持ちで読んでいたような、
特にこうして「君」とか「君たち」のように、
「子ども」に向かって語りかけてくる文章に、
ころりと転がされたような気がする。


転がりながら、ぐるりと回る世界をぼくは、
陶酔して眺めていたのだろう。その興奮を、
今もなお求めているとしたら、愚かなことだろうか。


気になる新刊。
杏『杏のふむふむ (ちくま文庫)』(筑摩書房
福井健策『18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)』(筑摩書房

*1:速水健朗円堂都司昭栗原裕一郎、大山くまお、成松哲『バンド臨終図巻』(河出書房新社

*2:冬の本』(夏葉社)