少年よ、無駄におぼれよ

告白的読書論 (中公文庫)


熱が出ないのでインフルエンザではなさそうだが、
働いているあいだに、声がかれてきた。
東京で本屋さんしていたときに、
風邪引いたときの声を「いいね」と言われて、
複雑な気持ちになったことを思い出したりした。


車中のとも。
石井洋二郎告白的読書論 (中公文庫)』(中央公論新社


少年・青年時代の読書回顧になって、
俄然おもしろくなってきた。それにしても、
王道たる世界文学への挑戦よ。すごいね石井少年。
そういう時代だったのかしら。その感想はしかし、
けっこう共感できるところが多いので、
読んでる本のラインナップのわりに、
近しく感じられるのがいい。


漱石の「坊っちゃん」への感想とか、
似たようなことを感じたような気もする。
(過剰共感による記憶の捏造かもしれないけどね)

損得勘定ぬきでもったいない時間の使い方ができるのも、「役に立たない」ことに我を忘れて没頭できるのも、若さのかけがえのない特権である。一見無駄としか思えないことに無償の情熱を傾け、惜しみなく時間やエネルギーを注入する経験をもたない青春に、いったいなんの意味があるだろう。(p.103)


今読めば、なるほど、と思うこういった文章も、
当の中高生に聞かせたらぜんぜん伝わらないのかもしれないけど、
読書が気になっている中高生に読ませてみたい本であります。


ビバ!ムダ!