夏の栞を買った店

三条通りにある紀文堂書店が、開いていた。
ここ数ヶ月、ずっとシャッターがおりていたので、
もうお店をやめてしまったんだと諦めていたのだが、
ふと19時ころに通りがかったら、開いていた。


なんか貴重な機会に思えて、自転車にまたがったまま、
外の文庫棚をアリバイ作りのように眺めていたら、
新潮文庫版の『夏の栞』があったので、購入。
今は、講談社文芸文庫に入ってます。*1


購入。紀文堂書店。
佐多稲子夏の栞―中野重治をおくる (新潮文庫)』(新潮社)


レジで本を買ったあと、店を出るまでのわずかな間、
視界をちらっと走った背表紙たちが魅惑的で、
ゆっくり見たい、という気持ちも生じかけたが、
案外、ゆっくり見たらそうでもないかもしれぬ、
と思い、そのまま店を出た。


自転車を漕ぎながら、この先、二度とあの店に
入ることはないのかもしれないな、と思いながら、
そうやって後悔する方がいいんだ、とも思っていた。


ものすごく気持ちのいい風が窓から入ってくる。
夏はもう、過ぎ去ってしまった。栞を残して。