期待で膨らんだ風船の重さ

けんちく体操 (エクスナレッジムック)


仕事を終えて建物を出ると、雨が降ったような気配。
駅で、電車が多少遅れているようなアナウンスもあったが、
本を読んだりしながらほとんど気にせずに移動していたら、
最寄駅まで帰るのに、ものすごく時間がかかっていた。
どうやら近鉄線はそうとうにダイヤが乱れていたようだ。


10月の文庫の発刊予定を見て、気になるいくつか。
エイモス・チュツオーラ、土屋哲『やし酒のみ』(岩波書店
川本三郎『いまも、君を想う』(新潮社)
内田樹小田嶋隆平川克美町山智浩9条どうでしょう (ちくま文庫)』(筑摩書房
堀江敏幸『アイロンと朝の詩人 回送電車 (?)』(中央公論新社


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
宣伝会議 2012年 9/1号 [雑誌]』(宣伝会議
米山勇、高橋英久、田中元子、大西正紀『けんちく体操 (エクスナレッジムック)』(エクスナレッジ
山極寿一『15歳の寺子屋 ゴリラは語る』(講談社
ナイスク、種清豊、丸谷裕一、橘田龍馬、公文健太郎、山口規子『写真をもっと魅力的に撮るための構図のお手本帖』(エムディエヌコーポレーション
尾木直樹ピンチを「味方にする」スイッチ』(主婦と生活社


宣伝会議宣伝会議賞が50回を迎えてます!
・・・し、知られてない?
『けんちく体操』なかなかに興味深い体操です。
こどもの方が得意そうだが、おとなの方が滑稽さで勝るだろう。


読了。
赤木かん子子どもに本を買ってあげる前に読む本』(ポプラ社


すわーっと読めたが、語り口にクセがあって少々読みにくい。
「子どもの本」と一口に言ってしまっても、その範囲については、
いろいろと幅があるようですが、いわゆる児童書コーナーにある本を、
詳しいひとから説明していただく機会はなかなかないわけで、
それはとてもありがたかった。


とはいえ、『ゲド戦記』も『十二国記』も『ハリー・ポッター』も
読んでいないボクとしては、自分の文化プレートをどこに定めればよいか、
ちょっと赤木さんの話しかけている方向が、ボクのいないところにあるように、
さびしい気持ちになっちゃったのでした。あと「古典になった」と言うときの、
「古典」に込められたネガティブな雰囲気が、ちょっと引っかかる。


なるほどな、と思ったのは、『ぼくがほんとにほしいもの』*1で、
「悪気はないんだけど子どもを守れない両親が登場」(p.73)するとか、
親と子との関係としてある時代から後にしかない環境があり、
そのことを取り扱っている本とそうでない本との間には、
子どもたちが受ける印象として「自分の生きている世界が描かれているか」という点で、
差が出てきてしまうのかもしれないなー、とおもいました。


とはいえ、作中の時代設定が昔であったとしても、もっといえば、
全くの架空のファンタジーであっても楽しめる本はあるわけで、
必ずしも昔の本が全て賞味期限切れになるわけではないと思う。
それは本の造りやイラストのタッチに関してもそうであって、
おとなにとっては「古臭い本だなー」って敬遠したくなるものでも、
こどもにとってはそれと比較するものの知識や記憶が少ない分、かえって、
おとなが見つけられなくなってしまった「古い本に残された魅力」を、
偏見なく拾い出すことができるんじゃないかしら、と思うのだが、
それは子どもに対して、自分勝手な期待を抱いているに過ぎないのか。


車中のとも。
池上彰伝える力 (PHPビジネス新書)』(PHP研究所


赤木さんの本から、いろいろ汲み取りきれずに、
なんだかなーと思いながら、これを読む。
「伝える力」、もしくは「拾える力」のヒントがないか!
と鼻の穴をかっぽじってページをめくってみたが、
なんとなく、とりとめのない印象。なんだ、これは。
阿川佐和子の『聞く力』*2にも似た空振り感だ。


内田樹のエッセイとかでは、あんまり思わないんだけど、
「××の力」とかいうタイトルだと、全体として、
うまいこと構成された取り扱い説明書になっていて欲しい、
という期待が大きくなりすぎるのか。思いつきで話したように思える箇所や、
列挙してある根拠が漏れなく網羅されてないんじゃないかという印象が、
ことごとくマイナスのゆがみとして顔面を襲ってくる。