両手で1冊の本を

日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)


勤務初日。まずはレジを覚える程度の。
それでも売り場をうろつけば、問い合わせはある。
久しぶりの立ち通しの仕事も、心地よい疲労
焦らず、現場にからだを慣らしていこう。


車中のとも。
原研哉日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)』(岩波書店

かつて腹ぺこに泣かされた欲深ウサギは両方の手にビスケットを持っていないと不安なのである。しかし冷静に判断するなら、両方の手に何も持っていない方が、生きていく上では便利である。両手が自由なら、それを振って挨拶もできるし、時には花を活けることもできよう。(p.100)


しかし、そろそろ僕らはものを捨てなくてはいけない。(p.102)


持つよりもなくすこと。そこに住まいのかたちを作り直していくヒントがある。何もないテーブルの上に箸置きを配する。そこに箸がぴしりと決まったら、暮らしはすでに豊かなのである。(p.106)


引っ越して、段ボールから出てくる“もの”たちに、
悩まされながらも、嫌ではない気持ち。原さんの言うことも、
分かる。とりあえず、雑多な部屋と、すっきりした部屋とを、
分ける。あとは、入手する量を減らすことだな。


実家から遠く離れて、実家に残してきた本が、
ますます「急を要さない本」となってしまった。
あれを所有することに、どれだけ意味が残っているのか。
せめて、積み上げている状態から棚に並べたいものだが。