それから12年、今なお本屋さんにゆく

それから (新潮文庫)


家事のあいまに、記事をアップ。
そのまま、「大人が味わうスウェーデン児童文学」*1第1回北欧神話のとこ聞いている。
菱木晃子さん、ちょっと声がかたい気がしていたが、8分くらいのところで冗談が出た。
スタッフの笑い声らしきものも後ろで聞こえた。やるな。


昼時を過ぎてから、家を出る。
駅前でパンとコーヒー。テーブル席がいっぱいだったので、
カウンター席で文庫を片手にサンドイッチなどを食す。


読了。
夏目漱石それから (新潮文庫)』(新潮社)

けれども相当の地位を有っている人の不実と、零落の極に達した人の親切とは、結果に於て大した差異はないと今更ながら思われた。(p.255)


12年前、『それから』を買おうと思ったのは、『働くということ』*2に、
印象的な引用がされていたからだった、というのが書き残されていた。
はたらくということ:http://d.hatena.ne.jp/tori810/20050121


あの頃は、昔の恋愛がどうこうというよりもむしろ、
「働くということ」についてのことが強く印象づいていたようだ。
物語の結末、父や兄からの強い言葉が、まるで自分に言われたかのように、
ぐらぐらと揺さぶられたような気もする。うろ覚えだけれど。あの頃はたしか、
まだ実家に暮らしていたから、まさに代助的な「すねかじりマン」だったのだ。
「それからショック」*3というのは、たぶん、せめて家を出て家賃を自分で払えるような、
そういう境遇へと自分を移動させなければとかいった焦りが生じたのではなかったか。


それからいろいろあって、ほとんどフリーター的な立場のまま、
妻のすねをかじり、娘のすねをさする生活をしている今の僕を、
12年前の自分には、想像できただろうか。案外、図々しく、思い描いていたかもね。


コーヒーのとも。
千葉聡『短歌は最強アイテム――高校生活の悩みに効きます (岩波ジュニア新書)』(岩波書店


「はじめに」の荻原裕幸の短歌、良かった。
ちばさと先生の言う「魔法」ということばに、
『魔法をかける編集』*4を思い出した。

もう立派な大人である俺にも、やはり将来はある。俺は将来、やさしいはげの先生になりたい。(p.5)